真っ白な世界
目が覚めて部屋に差し込む朝の光
凛と張り詰めた空気が漂い
布団の中はまだ温みで満ち
吐いた息が白かった
窓を開けて大きく息吸って
昨日までの後悔
全部吐き出してみたら今度は
真っ白な煙になった
今日も変わらず 雪は街を染めていく
目にも見えず触れることもできない世界の影が
真っ当であることが正しいのだと
あまりにも真っ当な顔をして歌うから
轍を踏み出す勇気すらない僕は
どうしたら良いのか分からなくなるんだ
抱え込んだ悩みや不安 苦しさも
悲しみもこの雪に眠らせて
そのまま陽の光であたためて
みんな一緒に溶かしたい
僕は僕のままで良いのだと
何度言い聞かせれば
僕は僕のまま生きていこうと
安心できるのだろう
ほらまた影が 僕らを飲み込んでいく
目にも見えず触れることもできない世界の影が
真っ当であることが正しいのだと
あまりにも真っ当な顔をして歌うから
轍を踏み出す勇気すらない僕は
どうしたら良いのか分からなくなるんだ
君は君ままで良いのだと
何度歌い続ければ
君は君のまま生きていこうと
安心できるのだろう
それでも雪は 今日も街を染めていく
今ここに立つ 自分の後ろに横たわる
その足跡こそが君や僕だけのもの
それこそが何よりも真っ当なのだと
不安の影を覆い隠すように降る雪が
静かに歌い続けてる
僕らを包み込んでいく
この真っ白な世界も今は僕らだけのもの
影すらも染めて今はただ
ただ、このまま
この真っ白な世界に僕らだけの歌を
この真っ白な世界に僕らだけの足跡を
詩集「僕の独り言」
真っ白な世界
冬晴れの朝に より
歌の葉手帳 雨音 @ayuction
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