喫茶 石動庵

029： 門前の小僧――南無阿弥陀仏

「如是我聞 一時佛 在舍衛國 祇樹給孤獨園 與大比丘衆……」

「にょーぜーがーもんいちじぶつざいしゃえーこくきじゅきっこうどくおんよーだいびーくしゅー」

　寺の門前に、一人の子供が座って毎日お経を聞いていた。

　日が経つにつれて、その子は一緒にお経を読むようになった。

「大如車輪 青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光 ……」

「だいにょーしゃーりんしょーしきしょっこうおうしきおうこうしゃくしきしゃっこうびゃくしきびゃっこう」

　毎日やっていると、それなりに形ができるもので

「若一日 若二日 若三日 若四日 若五日 若六日 若七日 一心不亂……」

「にゃく一日 にゃく二日 にゃく三日 にゃく四日 にゃく五日 にゃく六日 にゃく七日 一心不乱」

　段々上達してきます。

「舍利弗 如我今者 讚歎阿彌陀佛 不可思議功德 東方亦有 阿閦鞞佛 須彌相佛 大須彌佛」

「舍利弗 如我今者 讃歎阿弥陀仏 不可思議功徳 東方亦有 阿閦鞞仏 須弥相仏 大須弥仏」

「出廣長舌相 徧覆三千大世界 說誠實言 汝等衆生 當信是稱讚 不可思議功德 一切諸佛 所護念經」

「出廣長舌相 徧覆三千大千世界 說誠實言 汝等衆生 當信是稱讚 不可思議功德 一切諸佛 所護念經」

「師匠、そこ違ってます」

「むむっ、やりおる」

「弟子は師匠を越えてこそ」

「ははっ、有難き幸せ」