短編CM どう嘆いても、やはり俺は無能らしい……。

スクラッパー田中

どう嘆いても、CMでも俺たちは俺たちらしい……。

「……なるほど、つまり俺は今からホームレスって訳か」



 高校デビューを目指して、髪を赤く染めてしまった少年、端北透はたきたとおるは仁王立ちで言った。


 しかし、仁王立ちのホームレスを気にかけてくれる心優しい御方は一人も居ない。

 彼は薄情者共が鳴らす石畳の音、背後の石造りの建物から漏れ出る笑い声を聴いていることしか出来なかった。


 そう、人見知りだ。



「ちょっと!大丈夫?」



 失礼、心優しい御方が一人いたようだ。



「どうしたんだ、れい。そんな心配そうな顔して」


「だって透そんなキャラじゃないでしょ?なんで脳内でしっかり語ってるのよ」


「いやでも、CMって予告編みたいにやればいいんじゃないの?」



てか俺の脳内の語り聞こえてたのかよ。

どういう事だよ、恥ずかしい。



「でも、この小説ってそんな雰囲気じゃないわよ。しかも、予告編というか三人称視点でのプロローグだったし。あと、地味に自分のこと貶してたし、やはり透はMだったのね」


「雰囲気は確かにそうだけど、そんな話してる場合じゃない!文字数制限が!」


「それは気にしなくていいわ。締めの台詞考えてああるでしょ?締めに相応ふさわしいクライマックスシーンなんてあった気がしないけど、その文字数に合わせて合図するわ」


「カギ括弧含め19文


「今!」


「えっ、あ、え?あっ、今?!エクスッッ



どう嘆いても、やはり俺は無能らしい……。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885769875

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

短編CM どう嘆いても、やはり俺は無能らしい……。 スクラッパー田中 @scrap_tanaka

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ