第4話 公爵令嬢ローザ

全く。こんなに愚かだとは思いませんでした。あらかじめ、王さまと父に婚約破棄を申し出でて、了承。婚約を白紙にしておいて、よかったですわ

こんなことをして、どうなるのか考えていないのでしょうね。


2

え?

「このままいけば、私は王妃。なかったことをあったかのように言って思った通りになるなんて、やっぱりヒロインね。将来のことを吹いたら、みんなにも協力してくれたし」

…アリアね。

相変わらずのお花畑ね。

王さま、全部知っているわよ。

私も調べるもなく、分かっていましたし。


3

「王太子でなければ、謀殺したのにいまいましい」

あらあら

「それに対して、アリアはいつも綺麗で可愛いらしい。その笑顔をいつも通り私だけに向けて欲しい。私も、君が言う通り、いつも格好良くありたいから」

ルクサよね

男って、本当にバカなのね。

こんなのばかり周囲に集まるなんて、どうなっているの?


4

「せっかくの卒業式なのに、思い出を台無しにするつもりかしら」

私もそう思うわ。

…アリサかな?

「真実の愛に目覚めた王太子の婚約者になるから、将来は王妃。その時は、高い身分を約束するからなんて、空手形もいいところ。平民主席を奪ったからって言っても、平民には変わりはないし。でも、アリアの言う通りの証言をしたら、王太子が本当に信じるとは思わなかった。どこまで、頭が悪いの」

そう、そんなことがあったのね。

最近くらい表情をしていると思ったら…

ここは、知っていることを出さないで、事情を聞いてみようかしら


5

「兄が婚約破棄をすれば、ローザと婚約できる」

ルーク?

「昔から、憧れていたし、彼女と釣り合いが取れるように何にでも頑張ってきたんだ」

そう、そうだったのね。

王妃教育の最中に、アーサーよりも会う頻度が高かったのは、そのためだったのね。

アーサーやルクサよりも断然いい男になったのね。

もう、アーサーとは婚約解消しているから、ルークからの求婚があれば…

お父様と王さまに相談しておきましょう。


6

「バカが。何をしておる」

「まさか、あの不埒な者の言を真に受けて、よからぬことを考えていまいな。ローザの言っていたことは真であったな」

王さまも、ちょっとは期待していたのかもしれないわね。

私の報告が間違えていることを。

でも、これでは、どうしようもないわ。


はっ

気がつくと、自分の身体に心が戻ってきた感覚があった。

あら、もう終わり?


アーサーが叫んでいる。

「…真実の愛に目覚めた私は、公爵令嬢ローザとの婚約を破棄し、ここにいる男爵令嬢アリアとの婚約を…」

え?止まったの?


「ここにいる男爵令嬢アリアと宰相令息ルクサとの婚約を認める!」


「「…はぁあああ?」」


アリアとルクサが驚いたような声を上げている。


あら、これは面白いことになりましたわね。

私は、さっさとここから立ち去ることにしましょう。

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“さとり”の婚約破棄劇 夜空のかけら @s-kakera

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