第3話 宰相令息ルクサ

王太子でなければ、謀殺したのにいまいましい。

それに対して、アリアはいつも綺麗でかわいらしい。その笑顔をいつも通り私だけに向けて欲しい。私も、君が言う通り、いつも格好良くありたいからな

こんなところにいても、道化…


2

ん?目の前にアリアが…

「このままいけば、私は王妃。なかったことをあったかのように言って思った通りになるなんて、やっぱりヒロインね。将来のことを吹いたら、みんなにも協力してくれたし」

なんだ?アリアか?

あれは、なかったことだって?

しまった。よく調べれば、俺の方へアリアが来たかもしれないのに、しくじった。

他の手段は…


4

「せっかくの卒業式なのに、思い出を台無しにするつもりかしら」

ん?聞き覚えのある声だな。

「真実の愛に目覚めた王太子の婚約者になるから、将来は王妃。その時は、高い身分を約束するからなんて、空手形もいいところ。平民主席を奪ったからって言っても、平民には変わりはないし。でも、アリアの言う通りの証言をしたら、王太子が本当に信じるとは思わなかった。どこまで、頭が悪いの」

なんだ、アリサじゃないか。

俺の元婚約者。

アリアとの婚約の邪魔になるから、貴族でもないやつとは婚約破棄してやったが、実はこんなからくりだったとは。

しかし、王太子の頭が悪いのは、同感だ。



5


「兄が婚約破棄をすれば、ローザと婚約できる」

第二王子かな。

「昔から、憧れていたし、彼女と釣り合いが取れるように何にでも頑張ってきたんだ」

確かに王太子よりもできる。

アーサーを廃嫡してしまえば、ルークはローザを得られるし、俺もアリアを妻にできる。

そうだ。アーサーを陥れよう。

ルークを抱き込めばいい


6

「バカが。何をしておる」

誰だ?

「まさか、あの不埒な者の言を真に受けて、よからぬことを考えていまいな。ローザの言っていたことは真であったか」

王…か。

本当のことを知っているか。

ルークを動かすのは、難しいか。

しかし、いかようにもやりようはある。


7

「全く。こんなに愚かだとは思いませんでした。あらかじめ、王さまと父に婚約破棄を申し出でて、了承。婚約を白紙にしておいて、よかったですわ」

なんだって?婚約が白紙だと?

これでは、アリアと結ばれる可能性が低くなってしまう。





はっ

気がつくと、自分の身体に心が戻ってきた感覚があった。

さっきのことは、夢か?

それよりもどうなる。

アーサーは叫んでいる。

「…真実の愛に目覚めた私は、公爵令嬢ローザとの婚約を破棄し、ここにいる男爵令嬢アリアとの婚約を…」

何もできないのか、何かないのか。

止まった?


「ここにいる男爵令嬢アリアと宰相令息ルクサとの婚約を認める!」


「「…はぁあああ?」」


あまりにも、突発的な言葉だったので、思わず変な声がでてしまった。


ありがとうアーサー

アリアとこの国を支えていくよ。

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