第3話 絶対絶命!

 

「フニャ~」


 目を覚ますと、俺の目の前に、絶世の美少女が俺を抱っこした状態で寝ていた。


 マリー……なのか……


 後ろを振り返ると、二コの面影があるこちらも超絶美少女が寝息を立てて、スヤスヤと寝ている。


『こ……これは、マリーとニコが、ホブゴブリンに種族変更したという事か……

 と、言うか、これは変わり過ぎだろ!』


 俺は心の中で、ツッコミを入れる。


「ふぁ~……アッ! カイトちゃん、おはよう!」


 マリーが目を覚まして、俺におはようのチューをしてきた。


 俺は今まで、全くマリーに女を感じていなかったのだが、俺はどうやらマリーに一目惚れしてしまったようだ。


「お……おはようなのでちゅ!」

 緊張し過ぎて、言葉がうわずる。


「エッ! この娘、二コちゃん?」


 マリーが、寝ているニコに気付き驚愕している。


「そうでちゅ! マリーの容姿も驚く程、変わっているのでちゅ!」


「エッ! 私も?」


 マリーは、自分の容姿を見てみたそうだが、穴ぐらには鏡が無い。


「水瓶が有るので、そこで自分顔を見て見ると良いのでちゅ!」


 俺に提案されると、マリーは急いで、水瓶に写る自分の顔を確認する。


「凄く可愛くなってるよ!」


 マリーは、飛び跳ねて興奮している。

 マリーは、身長まで高くなっているようだ。

 言葉もスラスラ喋れるようになってるし、少し耳が尖った緑色の人間にしか見えない。

 男のホブゴブリンを見た事はあったが、ここまで美形では無かった。


 多分、ゴブリンが面食いなのが影響しているのだと思われる。

 今までゴブリンが犯してきた美女の血が、より人型に近いホブゴブリンに種族変更した事より、より顕著に現れたのであろう。


 というか、俺は雌のホブゴブリンを初めてこの目で見た。

 もう、雌というのも憚られる気がをする。


 これ程、綺麗な言葉を喋り、美人なら性奴隷として売れるであろう。


 だが、ボブゴブリンの女性が美人だという話は聞いた事が無い。


 多分、マリーとニコが初めてホブゴブリンに進化した個体なのかもしれない。


「ねえねえニコちゃん! 大変だよ!」

 マリーが、ニコを揺さぶり起こす。


「ふぁ~眠いよぉ~」


 ニコは伸びをしながらアクビをして、目を擦りながら上体を起こす。


「マリーおはよう~。んっ!? 誰?」


 ニコはマリーを見て、とても驚いている。

 目の前の人物が、誰だか分かっていないようだ。


「私だよ! ニコちゃん! マリーだよ!」


「エッ! マリー! マリーの訳ないよ!

 マリーは、もっと小さくてブサイクだよ!」


 ニコが、マリーに失礼な暴言を吐いている。

 確かに、昨日までのマリーは、美人だとは、とてもじゃないが言えなかった。


「そのブサイクだったマリーだよ!

 ニコちゃんも、一度自分の顔を見てみるといいよ!」


 ニコは半信半疑で、マリーに水瓶の所まで連れて行かれ、自分の顔を確認する。


「ええぇぇぇーー?!」

 ニコは、マリーと同様、とてもビックリしている。


「こ……これが私? ホブゴブリンに種族変更すると、ここまで変わるの?」


 ニコは、嬉しい過ぎて興奮しているのか、ガクガク震え出している。


「ニコちゃん、泣いてるの?」


 ニコは、水瓶に映る自分の顔を見ながらヘタリ込み、瞳から涙を溢れさせて体を震わせている。


 マリーはそれを見て、二コの肩にそっと手を添える。


「ニコちゃん、とても綺麗だよ」


「ウゥ……私、可愛くなってるよぉ……もうこれで、アイツらブスチビって言わせないんだからぁ……」


 俺は、ゴブリン語を全く話せないのだが、たまに雄ゴブリン共が、マリーやニコを見て何やら言っていたのは、どうやらマリー達に悪口を言っていたようだ。


 それから、マリーとニコから巣立っていったゴブリン達の中には、最後に俺のマリーを足蹴にして出ていった不届き者までいたのだ。


 ゴブリンの成長は早く、大体3ヶ月で大人になる。


 俺が、初めてマリーとニコの所に行った時に、最初に見たゴブリンの赤ちゃんや子供などは、とうの昔に全員巣立って行ってしまっているのだ。


「そうだね。これでアイツらを見返せるね! 」

 マリーまで涙目になっている。

 よっぽど、雄ゴブリンに蔑まれてきた事が悔しかったのたをろう。


「嬉しいよぉ~」

 ニコは泣きじゃくり、マリーに抱きついた。

 美少女同士の友情は、絵になる。


「そうだね嬉しいね!」

 マリーは、ウンウン言いながら、二コの背中をたたく。


「マリーちゃん~!」


「分かるよ、分かるよ。

 アイツらに復讐したいのね!

 育ててやった恩も忘れて、私達をブスなどキモイなど散々酷い事言われてきたからね!」


「ウン! 絶対に復讐してやる!」

 というか、今となっては、あいつらキモイし!」


「そうだね。とってもキモくて醜悪だね!

 ん?! アレ?

 あれ程、憧れていたのに、何故、あいつらの事キモく思うんだろ?」


 マリーが、何やら考え込んでいる。


 多分、自分達の容姿が変わった事により、自分達と異なった姿をしているゴブリン達に嫌悪感を抱くようになっているのだろう。


「そうだよね! 何でこんなにキモイ赤ちゃんを、私達喜んで育ててたんだろ?」


 ニコもマリーの意見に同調しているようだ。


 ん? 何だと……

 ニコは俺まで見て、キモイとか言ってなかったか?


 ヤバイぞ、俺はこのままでは、マリーとニコに捨てられてしまう。

 俺はまだ、10ヶ月の赤ちゃんなのだ!

 俺は、ゴブリンと違って3ヶ月では成人しない。

 このままでは、この薄暗くて汚い巣穴で、餓死して死んでしまう。


 俺は急いで、【幻惑】スキルを使い、ホブゴブリンに変化へんげした。


「そうでちゅねー! アイツらキモイでちゅねー!」

 俺も直ぐに、ニコとマリーに同調する。俺の事は、仲間だと思わせないといけない。


「あれ? カイトもホブゴブリンに種族変更したの?」

 ニコも突然、俺がホブゴブリンに変化した事に驚いている。


「当然なのでちゅ!

 僕は、マリーとニコに育てられた息子みたいな存在でちゅからね!

 マリーとニコが、種族変更するなら、当然 僕も種族変更するのでちゅ!」


「そっか、そっか! カイトは私とマリーの特別だからね!

 雄ゴブリンで、カイトだけが、私とマリーの味方だったしね!」


「当然なのでちゅ! 僕はマリーとニコが大好きなのでちゅから!」


 ここで、俺は赤ちゃんなのを利用して、マリーとニコに告白しておく。

 二人とも、本当に超絶美少女なのだ。

 ホブゴブリンだったとしても、俺的にドストライクなのだ。

 早目に唾をつけて置くのが、正解なのだ。

 何せ、ゴブリン族は、性に寛容だ。

 俺が精通したら3Pだって受け入れてくれる筈なのだ!

 何せ、今の状態でも、俺の舌技で2人をよがらしているのだから。

 これだけ超絶美少女になれば、オッパイペロペロも楽しくなる。

 今までは、義務としてやってきたが、これからは楽しみながらオッパイペロペロ出来るのだ!


 急に、このゴブリン生活も何やら楽しくなってきた。


 マリー達がホグゴブリンに変化したので、ステータスを確認してみる。


 名前:マリー

 種族:ボブゴブリン(雌)lv.1

 スキル:人語lv.10、子育てlv.12

 HP:85

 MP:95

 特技:子育て

 趣味:カイト·シルフィードに夢中。人語


 名前:ニコ

 種族:ボブゴブリン(雌)lv.1

 スキル:人語lv.10、子育てlv.12

 HP:85

 MP:95

 特技:子育て

 趣味:カイト·シルフィードに興味。人語


 ホブゴブリンになって、レベルは下がってしまったが、大幅にHPとMPが上昇している。

 これなら、普通のゴブリンと戦っても太刀打ちできるだろう。

 だが、戦うとしても1匹づつだが。

 大勢でこられたら、太刀打ちできない。

 マリーとニコは、雄ゴブリン達に復讐すると言っているが、現実的に絶対無理だ。

 何せ、この巣穴のボスは、ゴブリンチャンピオンだ。

 マリーとニコが2人同時にかかっても、瞬殺されるであろう。

 兎に角、今はまだ、自分達の実力を上げるしかないのだ。


「カイト君! 大変だよ!」

 ニコが震えながら、俺の背後を見ている。

 俺はニコを【鑑定】する為に、ニコの方を見ていたのだ。


 俺は恐る恐る、ゆっくり後を振り返ると、そこにはナニをビンビンに反り返した醜悪なゴブリンの集団が、ヨダレを垂らしながら、ニコとマリーを物色していた。


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雌ゴブリンを賢者魔法で美少女にしたら、エライ事になった件。 飼猫 タマ @purinsyokora

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