駄洒落と屁理屈のマーチ
小石原淳
駄洒落と屁理屈のマーチ
「なんか帰りたくないな」
「じゃあ、北上する?」
:『南下、帰りたくないな』
「こんなの初めてかも」
「あ、それ、イノシシの肉だけど」
:『こんなの初めて。鴨?』
「秒殺かよ!」
「いや、六十一秒かかっているので、秒殺とは言えませんね」
――秒殺の定義は色々あります。
「犯人はあなたですね?」
「ということは、迷探偵はあなたですね?」
――推理、間違えちゃった。
「ブラックホールフォーエバー!」
「現代科学の予測では、ブラックホールは最後に蒸発するそうな。すっごい先のことらしいけど」
――検索した。
「どうしてそんなに優しいの?」
「ソンナは誉めて育つタイプだからさ」
:『どうしてソンナに優しいの?』
「そういえば似てるわね」
「総入れ歯にしてるワニ?」
――確かに、ちょっぴり似てるかも。
「なんだかんだで、饅頭うまい」
「次はお茶がうまい」
――いやそれ、落語になってないから。
「緊急メンテナンスなのです」
「ビネガーでどうしろと?」
:『緊急メンテなんす。なので酢』
「スターダストエモーション!」
「スターダストエモーション返し!」
「スターダストエモーション返し返し!」
「なんのっ、返し返し返し!」
――UNO?
アンコール!
「なんか帰りたくないな」
「じゃあ僕は帰るね」
「なんか帰りたいな」
――え? え?
「こんなの初めてかも」
「え、『かも』って何? バージンだって言ってたよね?」
「あれはバージン諸島のことよ」
――価値観の違いと謎の返し。
「秒殺かよ!」
「五十九秒以下でなければならないとする説と、九十九秒以下なら許容範囲だとする説があります」
――格闘技雑誌で見掛けた覚えが。
「犯人はあなたですね?」
「運転手は君だ、車掌は僕だ♪」
「……探偵は僕だ」
――懐メロ?
「ブラックホールフォーエバー!」
「プロレスラーのテリー・ファンクは、一九八三年に日本で行われた引退試合後『グッバイ、フォーエバー!』と連呼しましたが翌年復帰。そして今も現役だそうです」
――永遠とは永遠ではない。
「どうしてそんなに優しいの?」
「強うないと生きてゆけへんのは当たり前や。でもな、やさしなれんかったら生きてる値打ちがないんや」
――もしも平次がマーロウだったら。
「そういえば似てるわね」
「そうだね、『そう』と言えば宗兄弟だね」
――似てる。
「なんだかんだで、饅頭うまい」
「次は体重計が怖い、マジで」
――だから落語になってないって。
「緊急メンテナンスなのです」
「おい、直ってないじゃないか。『臨時メンテナンス』に変えろって言ったろ!」
――どこか違うの?
「スターダストエモーション!」
「……叫ばないと効果の発揮されない技って、どういう仕組みですの?」
――ほんと、昔から不思議です。
おしまい
駄洒落と屁理屈のマーチ 小石原淳 @koIshiara-Jun
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます