第37話 手加減はしているらしい
11階層、この階層からはゴブリンに加えてオークも出て来る、そしてオークは食肉の
と、探索を始める前に話しをしていたのを覚えているだろうか、ところが未だに一つもオークは食肉の
「ルーシー、もう少し上手に手加減出来ないのか」
「え~、これでも頑張っているんだけど」
そう、ルーシーがオークにドロップキックをかます度に爆散してしまい魔石すら残さない。だから、亡骸が迷宮に吸収されるときに起こる光の粒子にも成らないのだ。
そして、多分なのだが迷宮に吸収される光の粒子との交換でドロップが行われているようなので、食肉の
それで、俺がルーシーに文句を言っていたのだが、どうやらその効果は薄いようだ。
「ルーシー、一度後ろに下がってくれ。俺がやってみるから」
と、提案してルーシーと専守交代する。
そして、俺が先頭に立ってオークと戦った。
俺はロングソードを片手に、棍棒を振り回してくるオークの足を踏んで転がすと首に狙いを定めて刃先を振り下ろした。
スパ~ン!
と、綺麗にオークの首と胴体が離れるた。
すると、オークの亡骸は光の粒子となって迷宮に吸収されて行った。
そして、そこには待望の食肉の
ついでに、魔石も一つ......。
「ほら、ルーシー。ちゃんと食肉の
「ん~、悔しい~!」
「この塊一つで金貨2枚にはなるんだから、本当にルーシー頼むよ‼」
「分かったわよ~」
そして、そこからは其々にオークやゴブリンを相手に戦闘を繰り広げて行った。
その日の夕方......。
迷宮のギルド支部へと戻って来た俺とルーシー(俺の懐の中)はナディアさんの居る窓口の列に素直に並んでいた。
何故、素直に並んでいるのかというと......。
当初、迷宮のギルド支部へと戻って来た俺とルーシー(俺の懐の中)は、疲れていたので早々に宿に帰ろうと思っていた。
しかし、ナディアさんの窓口が混んでいた為に、空いている窓口に並ぼうと列を移動したところ、俺に向けて一瞬殺気が飛ばされて来たのだった。
なので、その殺気の飛んできた方向へと俺が顔を向けると、ナディアさんが眉間に皺を寄せて俺の事を睨んでいた。
そして、その表情は怒った鬼よりも凄く怖かったので、ナディアさんのいる窓口の列に、俺は素直に並ぶことにしたのだった。
「お待たせしました。今日の成果は如何でしたか」
ニコッ!..ニコッ‼
何という、変わり身の速さだろう。
まさしく、スマイリング・シンデレラ。
マックの売り子さんの営業スマイルも、真っ青だ‼
「今日は11階層しか回れなかったので、オークの食肉の
「凄いじゃないですか。では、こちらにどうぞ」
いつもの如く、奥の部屋へと誘導するナディアさん。
但し、今日は普通の会議室のようだ。
そして、部屋に入るなり。
「白龍の子供を抱っこさせて下さい!」
その鬼気迫る様子に、俺は仕方なくルーシーを懐から出すと、ナディアさんへと預けた。
ルーシーの方も仕方がないなぁという感じで、ナディアさんにされるがままに身を任せていた。
趣味で創った異世界に転移したようだ あんドーナツ @ando_natu
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