第36話 仲間が増えたのか

宿の部屋へと戻った俺は、白龍の幼体を懐から出してベッドの上に座らせると、会話が成り立つのか試して見ることにした。


「俺の話す言葉は分かるのか?」

「うん。パスが繋がったから理解できるよ」


「そうか、それは助かった。会話が成り立たなかったら如何しようかと思っていたよ」


俺がそう言うと、さも話せるのは当たり前でしょうという白龍の感情が俺に伝わってきた。


「もしかして、俺の感情も伝わっているのか?」

「正解!」


と、短い指でVサインをつくる白龍。


うがっ~!


と、俺は頭を掻きむしり思わず声を上げた。


「ねぇ、名前を付けて欲しいの」

「えっ、白龍じゃダメなのか?」


「それは種族の種類で、名前ではないでしょう」

「それもそうか」


「可愛いのがいいな~」

「じゃぁ、トメさんかウメさんで」


「いやぁ~、そんな古臭い名前は絶対にいやぁ~」


相当嫌なようで、流れ込んでくるその感情で俺の方が倒れそうになった。


「ん~、じゃぁ。ルーシーでどうだ!」

「うん。それがいい、ルーシーで決まりね‼」


そう言うと、ルーシーが眩い位の黄金色の光に包まれた。


そして、光が収まると先程よりも更に二人の間のパスが綺麗に繋がったように感じた。


「それで、ルーシー少し質問をしていいか」

「なぁ~に」


「食事はどうするんだ?」

「小さいうちは創作の魔力で事足りるから、食べ物は必要ないかな」


「お風呂とトイレはどうなんだ」

「お風呂は入れれば入りたい。おトイレは宿のおトイレで大丈夫、使った後はちゃんと洗浄と浄化の魔法を使って綺麗にするから」


「そうか、ならいいか。何か欲しいものがあったら遠慮なく言ってくれ」

「うん、そうするね」


取り敢えず、ルーシーの今後の事は追々考えるとして、俺は腹が減ったので食事に行く事にした。


出掛ける際、ルーシーには留守番をさせようと思っていたのだが、一緒に行くと言うので再び懐に入って貰い、食事をする為に宿を出た。



翌朝......。

迷宮の地下10階層の転移部屋へとやって来た俺とルーシー。


そこから、地下11階へと降りる階段を下りながら今日の探索計画を話していた。


「ところで、ルーシー。魔法は何属性使えるんだ?」

「ん~、取り敢えず...水金地火木土」


「金と地は要らないだろう」

「後、聖魔法が使えるわ」


「じゃぁ、5属性だな。攻撃力はどうなんだ」

「創作に魔力を分けて貰えれば結構な威力が出せると思う」


「そうか、それは実際に使ってみて検証する事にしよう」

「うん。分かった~」


この階層からはゴブリンに加えてオークも出て来る、そしてオークは食肉のブロックをドロップするらしいので期待をしている。


「ねぇ、創作」

「んっ、何だ」


「おトイレに行きたい」

「あ~、分かった。ただ、迷宮の中にはトイレが設置されていないんだよ」


「え~、普段はどうしてるの」

「男は黙って、隅っこで◯◯◯◯だ」


「そんな、女の子はどうするのよ~」

「それも、似たようなものかな」


ガッ~ン!


ルーシーの壊れかけの感情が俺に流れ込んできた。

しょうがないので、俺は近場の安全地帯へ行くとルーシーの為に、簡易式のトイレを亜空間から取り出して設置してやった。


「凄~い! ありがとう創作」


そう言うと、ルーシーは急いでトイレへと入って行った。


要が済んだ後は綺麗に洗浄と浄化がされていたので、俺はまた亜空間に収納しておいた。


「さて、地下12階層まではサクッと行ってしまおうか」

「了解‼」


ルーシーと二人、迷宮の探索が始まった。

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