第2話 以心伝心と言うけれど
恋愛だって
『あの人、私の事好きなんじゃないかしら?』
と、勘違いから意識し始めたり
『この人、きっと出世するから今のうちに確保しなきゃ』
で行動に出て
『こんなに私の事を大事に思ってくれる人なら一生一緒に居たい』
で結婚。
『え、思ったより給料上がらない』
『絶対私よりも子供が大事でしょ!』
『義親と旅行に行けだなんて、なんてマザコン!』
と、結婚前に勝手に思い込んでいた彼の真の姿が見えて夫婦仲が悪くなったりする。
子供にも勝手に期待する。
『うちの子、天才かも』
と、必ず一度は思う親の落とし穴。
『この子にとって、初めての女性は私。絶対に彼女に負けないわ!』
『こんなに手間をかけて身体に良い料理を作ったり、病気の看病したりしたんだから、この子は一生私に頭が上がらないはず』
はい、予想どおりの展開です。
思春期に入った子供達は、男女問わずに親の期待をガラスの破片のように粉々に砕きます。
そんなはずは、と狼狽するも足は割れたガラスを踏んで血だらけ。心も。
友達はどうか。
女の友情は紙より薄い、だっけ。
男を取り合ったりしなくても簡単に壊れます。むしろ最初から友情なんて、上っ面のものしか無い、と腹をくくるのが正解。
男の友情は意外と硬いようだが、それも最初から抜け道を作ってあって。
酒の席や最愛の彼女からの誘い、親の一大事とかは無視しても許されるようだ。
あと、ネット空間の匿名での友情は簡単に裏切っても良い、むしろ信じる方がバカ状態。
かといっていつもいつも言葉にして確認したとしてもダメで。
言葉や手紙くらい、嘘をつけるものはない。
態度の方が正直だ。
そして空気を読む。
『あいつは冷たい素振りを見せるが本当は申し訳なく思っているに違いない』
と、無理に信じて裏切られキレる。
何も誰も信じなければ、がっかりしたり裏切られることもない
→鬱の始まり
人間は厄介だ。
だから私は動物が好きだ。
動物だって知能の高いのは、嘘をついたり心にもない愛想を振り撒いたりする。特に飼い犬は。
しかしなにぶん3歳位しか知能が無いのでかわいい嘘だし、簡単にバレる。
そして嘘をつく動機も単純で笑える。
『机の上のチョコを食べたのは私ではありません』
いや、口の周りがチョコだらけですが、とか。
だが、思うのだ。
勝手に勘違いしなければ恋は始まらない。
どんなに傷ついたり泣いたりしても、やはり恋は人生を豊かにする。
ほんの短いひとときであっても想いが通じたその時には、空間すべてが輝き、咲き誇るバラの薫りのような甘い空気に酔いしれる。
『あの人さえ居れば他には何もいらない』
その状態は、経験した人にしか分からない麻薬である。
悲しい事に、数を重ねるごとに効果が薄れていくのも麻薬と似ている。
麻薬常習者は廃人になるというが、恋愛依存症の人もそうなのだろうか。
子供は親に魔法をかけている。
それでなければ親が、自己生存よりも子供の命や喜びをすすんで優先させる理由が見つからない。
児童虐待されてしまう子供は、うまく親に魔法をかけられなかったのだろうか。
麻薬の切れた者は反動で禁断症状に苦しむ。
それは失恋した時や、子供に反抗された時の親も同じだ。
人間は厄介だ。
でもひとときのレインボータイムを味わいたくて、今日も人波をさ迷うのだろう。
思い込みの罠からの脱出 蒼生 都記 @moon2019
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