皆さん、SFはお好きですか? では、ロボットはお好きですか? ではでは、人間大の(ガンダムなどの機動兵器でない)アンドロイドはいかがでしょう?
どれか1つでも当てはまる方、この作品を逃す手はございません。
これは僕の個人的感覚ですが、『ブレードランナー』『ターミネーター』『アイ,ロボット』などのエッセンスを抽出し、再構成した凄まじい作品です。『マトリックス』とか『攻殻機動隊』も入っているかもしれません。
読みやすく、くどくどとしないところはSFっぽくないかもしれません。が、そこはライトノベルとしての強力な要素です。
まるで淡々とした、ハードボイルドな雰囲気の中で、これまた淡々と行われるアンドロイド狩り。それに巻き込まれた主人公に突きつけられる、衝撃的とも非情ともいえる急展開。
人間とは何か? 身体とは? 感情とは? といったことを、じっくりゆっくり積み重ねてゆくことで、人間の当たり前の在り様(しかし忘れられがちな価値観)を提示してくれます。
素晴らしいSF体験でした。
空き缶人間はアンドロイドなのか、人間なのか。
アンドロイドとは何なのか、人間とは何なのか。心とは何なのか。主人公だけでなく、主人公以外の登場人物もそれぞれが想い、悩み、そして結論を出していく。哲学的な要素を孕みつつ、その実は”ヒューマン”ドラマである今作品では、それぞれのキャラクター達の葛藤や成長が非常に上手く描かれておりました。
また、昨今流行りのSF警察ではありませんが、なぜこの世界にアンドロイドは蔓延したのか、何故今、主人公はこの世界にやってきたのか。アンドロイドとは何なのか、人間とは何なのか。そして主人公の選択とは……。その全てに納得できる回答が用意されており、読んでいて非常に気持ちが良い作品です。
そして極め付けはタイトル「空き缶人間アンドロイドを殺す」、お見事としか言えないラストが待っています……!
SF警察のあなた、アンドロイドに興味があるあなた、是非ご一読ください!!