好きなことというのは、つらいことも苦しいこともそうとは感じさせないものですが、『読者』を必要とする小説というものは、どうしても数字や反応が気になってしまうもの。
感想がもらえない。評価がもらえない。そもそもPVが増えない。
ただただ『楽しいから』書いていたはずなのに、いつしかそれがすっぽり抜け落ちて『反応』ばかりを求めるようになってしまう。
これは、そうして行き詰まってしまったとき。へこんだとき。疲れたとき。何度でも読み返したくなるような、勇気とか元気とか、なんか見えないエネルギーをいっぱいもらえるエッセイです。
書くことにちょっと疲れちゃったあなた。ぜひ読んでみて――!
カクヨムに来て初めて、「エタる」という言葉を知りました。多分書き始めたものを完結させきることができないという状態を示すものであると存じます。
書き始めは勢いも(自分の中にあるものでありながら)未知のものに対する好奇心もありますし、だいたいのおおまかな結末を用意してあるつもりで書き始めます。ですが書いている途中でキャラが確立した頃、「このひとはこの選択はしないんじゃないか?」とか考え出したり、「こっちのが面白いかも」とか思って、話の筋道が違くなっていく場合もあろうかと思います。そのうちわけわかんなくなってエタる、こんなに悩んで書いたのにあんまり読んでもらえないのが悲しくなってエタる、わかります。
実際どうなんでしょうね。自分の中だけでこねくりまわしてたらそれでいいんじゃないのかと思うこともありますし、書いてる時はとんでもないハイテンションですが、冷静になってみるとコレどうなの……アホウじゃないの、うわあああああああ! ってなります。
もう自分でも妄想でお腹いっぱい、ゲップ出そうです。途中でこんなの書いてなんになるのと自問自答も繰り返しました。いや、何にもならないんですよ。これ書いたらもう書くってことと決別しようと、自分の才能のなさに離縁状を書いているだけだと思っていました。だからただ大して読んでももらえない駄作が世に出現して消滅していくだけです。
なのにじゃあそろそろ辞めよっかと考えますと、ものすごい喪失感でした。あれ私、書くことにまだ未練あるよ。神経すり減らして枯れ木みたいになって、もう話書くなんてバカな真似は辞めようと思っている予定でした。思ってたのと全然違う。
また書くかどうかはまだわかりません。でももしまた書き始めたら、それはこのエッセイのおかげです。
悩んでるヒマあったら書け! いいから書け!
ぶっ叩かれた背中には、きっと真っ赤な手形が勇気として残ると思います。
書き手として、あるある!と思わず頷きながら拝読してました。
更新しても読まれない、レビューも貰えなければ応援すらされない、そしてそんな日々が続いて、心が折れそうとか砕けそうになる。そんな経験をした方には、このエッセイはまさに処方箋。沈みそうな時にこのお話を読むと、大丈夫だよと背中を支えてもらっている感覚を覚えるのではないでしょうか。
第1話で、書くことがすでにすごい!と言葉をかけられます。書くことが好き、それを表現するだけで才能がある、と褒められている感覚に心が軽くなります。クスッと笑ってしまうような文体、表現に、読み終わったあとはきっと、よし自分の物語を書こう!そんな気分にさせてくれるような、温かいエッセイです。