意外な展開と哲学的な人生観、気持ちの良い読後感を楽しみたい人におおすめ
- ★★★ Excellent!!!
短い中で、意外な展開と哲学的な人生観が無理なく描かれた秀作です。
主人公が魔神に頼む願い事と、滅ぼされた自国に対する思いの意外性に興味をそそられ、
その考えの根底にある人生観にはなるほどと唸らされるでしょう。
この内容をこの尺でまとめる構成力と、会話を中心とした文章もとてもお上手です。
特に、文章は削ぎ落とした簡素なものであるにもかかわらず、全く安っぽいそれでなく、素晴らしいです。
また、会話の中にユーモアも注がれていて楽しく読めるのも嬉しいところです。
会話中心の削ぎ落とした文章と意外な展開、読み手に哲学的な発見をさせるところなど、星新一の作品を彷彿とさせますが、星新一作品がやや悲観的であったり毒の強い余韻を残すのに比べ、この作品は気持ちの良い読後感です。
爽やかな余韻を楽しみたい方にもおすすめです。