#12 傭兵vs傭兵~~War Tigers~ 2007/01/04

 夜明け前に20機のF-14Dスーパートムキャットが高度200mを4列横隊で編隊を組んで飛んでいる。

「ウォータイガー・リーダーより各機へ。今回のターゲットは、ヘリがメインの貧弱な基地だ。演習のつもりで十分楽しんでくれ。・・・エンゲージ!」

 20機のF-14Dが4つの分隊へ散らばり地面スレスレの低空飛行でレーダー網をかいくぐる。基地に着くと1分隊が基地上空へ飛び出し、別の1分隊が滑走路をナパーム爆弾で絨毯爆撃。残りの2分隊で対空火器(AA GUNやSAM、FLAK GUN)を攻撃する。滑走路を爆撃した分隊が離陸しようとするヘリコプターや戦闘機を攻撃する。地上を攻撃した3分隊が基地上空で反転を始めるころに上空制圧した1分隊が攻撃漏れした目標を機銃(M61A1)で掃射して一気に侵入してきた方向と同じ方向に離脱する。

「レーダー網をかいくぐって超低空侵入。うち1分隊が上空制圧。残りの3分隊で滑走路と対空火器、離陸しようとする機体を攻撃。そして、3分隊が攻撃を修了して反転を始めるころ、上空の1分隊が攻撃漏れした目標を叩いて一気に同一方向へ離脱する。かくして、エアフィールド66は壊滅状態へ追い込まれた!」

 フライトスーツと耐Gスーツを着ているサダトはエアフィールド66から送られてきた映像を再生しながらブリーフィングを行う。

「!サダト!それは俺がテレジアで散々やってきた方法だぞ。これだけ正確に攻撃できるパイロットは革命軍にはいないよ。プロ中のプロの仕事だ。」

「司令、当時の国連空軍エリート部隊『オリンポス』も12機編成で同じことをテレジアでやってたわ。」

 飛鳥もサダトに連合王国軍だけでなく国連軍にも同じ手法を使う部隊がいるということを話す。

 ゴードンがアシュレイに「やつらも傭兵か。」と聞いてみる。

「革命軍が俺たちのような外人部隊を雇った。考えられるぜ。サダト。」

 そのころ、管制塔がレーダーを見ていると20機の機影がレーダーに映る。

「敵機発見!」

 管制塔の職員は、空襲警報のアラートを鳴らす。

「管制塔よりサダト司令!北東方向より敵編隊が接近中!機数20!」

「おいでなすった。奴らの最終目標はこのエアフィールド69だ。傭兵対傭兵。編隊を組んで攻撃だ!編隊長は、俺が務める!アリーはここで留守番だ。」

「アイアイサー!」

 サダトはヘルメットを被って出撃の準備をする。

「面白そうだ。敵さんのお手並み拝見といこうかな。ついでにエアフィールド69の撃墜王の腕前もな。」

 ジェイはそう言いながら飛鳥に微笑む。

 20機のF-14Dは一度4つの分隊に分散し、味方(革命軍)の基地で特殊兵装をナパーム爆弾から6連装空対空ミサイルに変更、燃料と増槽を満タンにしてエアフィールド69の北東の海域で合流する。

「ウォータイガー7よりウォータイガー・リーダーへ。69の連中が発進した模様です。」

「東の大陸の空で同じ外人部隊どうしの一戦だ!丁重にお出迎えしろ!」

 20機のF-14Dは海の上で低空飛行しつつ増槽を投下する。

 飛鳥たちエアフィールド69の外人部隊もサダト率いる20機の戦闘機が離陸する。

「こちらサダト。敵側傭兵部隊のデータを教えておく。使用機種はF-14D スーパートムキャット。20機程のチームだ。対地・対空戦闘に抜群の腕前を持っている。チーム名は『ウォータイガー』。編隊長は『ウォータイガー・リーダー』。チームの癖・戦法は、不明。」


 ※エンゲージ・・・交戦

 ※テレジア・・・テレジア連邦共和国。1995~1998年までエスカルゴ共和国や国連軍などと戦争を行っていた。飛鳥や燐、アシュレイも戦争に参加していた。


 Tips! No.24~F-14D~


 F-14D Super Tomcat


 説明: 超長射程の対空ミサイル運用能力を持つ大型艦上戦闘機。自動制御の可変翼によって、高低両方の速度域で高い格闘性能を発揮する。


 武装

 機銃:680発

 ISM:96発

 フレア:3個×10回


 特殊兵装

 6連装空対空ミサイル:24発

 誘導貫通爆弾:32発

 ナパーム爆弾:24発

 セミアクティブ空対空ミサイル:24発

 高機動空対空ミサイル:24発

 高威力空対空ミサイル:18発



 戦力情報

 ウォータイガー

 F-14D Super Tomcat×20機。特殊兵装:6連装空対空ミサイル

 VS

 エアフィールド69

 サダト:JAS-39C Girpen C。 特殊兵装:高機動空対空ミサイル

 ゴードン:F-5E TigerⅡ。 特殊兵装:高機動空対空ミサイル

 エマ:Mirage-2000-5。 特殊兵装:4連装空対空ミサイル

 アイシャ:F-16C Fighting Falcon。 特殊兵装:高機動空対空ミサイル

 飛鳥:Su-27 Flanker。 特殊兵装:高機動空対空ミサイル

 アシュレイ:F/A-18C Hornet。 特殊兵装:4連装空対空ミサイル

 ジェイ:F-15C Eagle。 特殊兵装:高機動空対空ミサイル

 エアフィールド69その他:

 F-4E PhantomⅡ×2機。 特殊兵装:高機動空対空ミサイル

 F-4E PhantomⅡ×2機。 特殊兵装:4連装空対空ミサイル

 F-4E PhantomⅡ×1機。 特殊兵装:セミアクティブ空対空ミサイル

 F-5E TigerⅡ×8機。 特殊兵装:高機動空対空ミサイル


「サクリファイス1、交戦!」

 エアフィールド69の20機の戦闘機は散開してそれぞれ増槽を投下する。

「サクリファイス17増槽投下。エンゲージ!」

「サクリファイス16、エンゲージ!」

 1機のF-4Eがセミアクティブ空対空ミサイルを発射。誘導してウォータイガーのF-14Dを1機撃墜する。

 ウォータイガーの1機のF-14Dも反撃で2機のF-5EにISMを2発発射するもフレアで回避される。

 別のF-14Dが機銃でセミアクティブ空対空ミサイルを積んだF-4Eを、別のF-14DがISM1発を発射してF-5Eを1機撃墜する。

 サダトのJAS-39Cがある1機のウォータイガーのF-14Dを追いかけている隙をついてウォータイガーのF-14Dが4機で援護に駆け付ける前にJAS-39CがISMを1発発射。追いかけられていたF-14Dは撃墜される。

 飛鳥のSu-27はレーダーで索敵。バレルロールしながら敵の右下斜め後ろを取りISMを1発発射。F-14Dを1機撃墜する。その直後、別のウォータイガーのF-14Dから機銃による攻撃を回避しつつコブラでそのF-14Dの背後を取り、機銃で撃墜する。さらにもう1機のウォータイガーのF-14Dも機銃で撃墜する。

 空中戦の結果はウォータイガーが全機撃墜され、エアフィールド69の勝利に終わった。


 撃墜数トップ5

 1. 飛鳥 8機

 2. アイシャ 5機

 3. アシュレイ 3機

 4. ジェイ 2機

 5. サダト 1機

 F-4Eセミアクティブ 1機

(その他もろもろは、撃墜されたか回避機動を上手く使って生き延びているか)


 ジェイは飛鳥にISMでロックオン、2発ゆっくり発射する。

 飛鳥はミサイルアラートが鳴り響く中、フレアと急旋回でISM2発を回避する。

「フン!フレアと急旋回で回避したか・・・」

 無線からジェイの声が聞こえる。

「バジリスク・ジェイね!何するのよ!」

「頼まれたのさ。『飛鳥を消してくれ。』と」

「誰に!」

「名前は言えないな。これはビジネスだからね。・・・あばよ。十六夜飛鳥!」

 ジェイは機銃を発射する。飛鳥のSu-27は9発被弾して黒煙と小さな火を吹く。

 飛鳥はとにかく逃げることで精一杯で北東にある入り江に着くと海鳥が一休みしているところへ低空飛行で突っ込むと鳥たちは散らばって飛んでいく。

 ジェイも飛鳥を追いかけるために入り江に突っ込むが、鳥が驚いて急いで逃げてキャノピーに鳥がぶつかったり(バードストライク)、左右のエンジンに鳥が突っ込んでエンジンが炎上(バードストライク)したりする。ジェイは3連続でバードストライクが起きた機体をコントロールできずに入り江の真ん中で墜落する。

「メーデー!メーデー!こちら飛鳥!被弾したわ!脱出!救助ヘリを要請する!」

 飛鳥は砂漠の適当なところで機体が爆発する前にベイルアウトする。

 Su-27は爆発しなかったものの、胴体着陸した状態になり使い物にならなくなる。

「さすがに手強い相手だったな・・・出撃数20、未帰還機15。この中に飛鳥、ジェイもいる。」

「飛鳥にジェイね・・・二人とも不死身だと思っていたのに・・・」

 アシュレイは不死身だと思っていた二人の死を悼む。

「ぐすん・・・あすかぁ・・・」

 アイシャは親友の飛鳥が戦死したと思い泣いている。

 飛鳥はサバイバルキットを背負い、岩陰でビーコンの電源を入れて救助ヘリが来るのを待ちつつエアフィールド69に向かって歩き始める。

「早く基地へ戻らないと・・・玲奈のところへ帰らないと・・・」

 飛鳥はサバイバルキットの中身を上手に節約しつつ、2日かけてエアフィールド69に到着してサダトの部屋に行く。

「サダト司令、いらっしゃいますか?」

 飛鳥はサダトの部屋のドアをノックする。

「ん?飛鳥か。とりあえず入れ。」

「失礼します。」

「とりあえず、生還してくれたことに感謝する。この航空基地は昨日、別の航空部隊の攻撃を受けた。滑走路などの主要な施設に被害はないものの、王族の身柄を革命軍に渡さなければ、この基地を核で攻撃するそうだ。反撃準備に取り掛かろうとした矢先、パイロットの8割が任期満了のため解約された。契約を更新すると言った者は、アシュレイ、アイシャ、ゴードンの3名のみである。なんとしてもこの状況を何とかしなければ・・・」

 サダトは困った顔で考えている。飛鳥は機体を失ったため、出撃できない状態である。

「君のSu-27フランカーは使い物にならないため、君専用のF-5EタイガーⅡを用意した。ISMの搭載量は少ないが、機動性はフランカーに負けないはずだ。この基地を守ってくれ!」


 Tips! No.25~ジェイのF-15C~

 優れた運用実績を誇る双発の大型制空戦闘機。空戦を制するための速度性、運動性、生存性を全て高いレベルで備えている。愛称は「イーグル〔鷲〕」(エースコンバット7より抜粋)

 深緑と黄土色の制空迷彩柄。

 武装

 機銃:940発

 ISM:94発

 フレア3×10回

 特殊兵装

 4連装空対空ミサイル:36発

 無誘導爆弾:32発

 セミアクティブ空対空ミサイル:28発

 高機動空対空ミサイル:28発

 高威力空対空ミサイル:24発

 炸裂空対空ミサイル:24発

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