勝利だギューちゃん

第1話

「今日も雨か・・・」

外は雨が降っている。

いくら梅雨とはいえ、こう続くと、うんざりする。


「たく、ここに降るなら、日照りで苦しんでいる地域に、

降ってあげればいいのに・・・変わってあげたいよ」

「じぁあ、変わって」

「えっ?」

その声に、振り向く。


そこには、ひとりの女の子がいた。

とても、やつれている。


「な・・・なんなんだ?君は?」

「その前に、何か飲ませて下さい。お・・・お願・・い」

「おい!大丈夫か?」


俺は冷蔵庫から、ペットボドルのお茶を持ってきて、女の子に与えた。

「はい。お茶。口つけてないから、大丈夫」

「私は、そういうには気にしないんですが・・・ありがとう・・・」

そういうと、少女はそのお茶を、一気に飲み干した。


「余程、喉が渇いてたんだね」

「ええ、もう、久しぶりで・・・」

「久しぶり?」


女の子は、落ち着いたようだ。


「で、君は何者?」

「ごめんなさい。私は、リデヒ・ムシーです。」

「外国の方?」

「ええ」

「日本語上手ですね」

「勉強してきました」

「なぜ?」

次の言葉に、絶句した。


「日本は、雨が多いと聞きました。その雨を私の国にも、わけてください」

「その心は?」

「私の国は、もう何か月も、雨が降っていません。カラカラです。分けて下さい」

俺に言われても・・・


「でも、何でわざわざ?」

「あなたの許可を取りに」

「だって・・・とにかくお願いします」

俺は一息ついた。


「いいよ、持っていきな」

「ありがとう」


仕方ない。連絡を取るか・・・


「こちら、クラオカミ。

クラハツミ様、たきつひこ様・・・

あの地区に、雨を降らします。ご協力願います」


魃(ひでりがみ)にも、クレームつけておくか・・・


・・・って、悪いのは、俺たちか・・・

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勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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