宿題小人

@mamanako

宿題小人

宿題をするのがとっても苦手な子どもがいました。


今日も学校でもらってきた算数の宿題がなかなか出来なくて、ああ、もういいやとペンを放り投げて、宿題を机の上に広げたまま布団にもぐりこんで寝てしましました。


次の日の朝、ああ、昨日は宿題を終わらせなかったなあと暗い気持ちで机の上を見てみますと、なんと、宿題だった算数の問題に一つ残らず答えが書いてあります。

あれ変だなと首を傾げましたが、とにかくその日はそのいつのまにか終わっていた算数の宿題を、黙って先生に渡しました。


学校から新しく国語の宿題をもらってきて、机の上に広げました。ペンをくるくる回しながら文章を読みましたが、よくわかんないなあと、どんどん頭の中がもやもやし始めて、ああ、もういいやとペンを放り投げて、やっぱり宿題を机の上に広げたまま布団でぐぅぐぅ寝てしまいました。


次の日の朝、寝ぼけ眼をこすりながら机の上を見ますと、国語の宿題はずらっと答えで埋められていました。昨日は気付きませんでしたが、宿題の上にいくつかの汚れが薄っすらついています。目を凝らすとその汚れは、小さな小さな人の足あとでした。

すっかり終わった国語の宿題を学校に持っていって、しれっと先生に渡しました。


新しい算数の宿題を机の上に広げて、おやつのアメ玉を五個も六個もお皿に盛って宿題の上に置いておきました。そして、そのままお布団に入ってすやすやと寝はじめました。


真夜中に、きゃーと悲鳴が、まるで目覚まし時計のように響きました。

布団から飛び出して机の上を見ると、べたべたに溶けたアメの固まりに、小さな小さな小人がひっついていました。

小人がじたばた暴れるたびにアメがどんどん絡まります。

子どもは慌ててペンを手にとり先っちょを小人とアメの隙間に差し込んで、小人をアメから剥がしました。

自由になった小人は一目散に駆け出して机の上から飛び降りると、部屋の隅へ走っていき、あっという間に姿を消してしまいました。


ごめんよ、ごめんよ、ごめんなさい

宿題を代わりにやってくれてたから、お礼にアメ玉をプレゼントしようとしただけだったんだ


子どもは小人が走っていった先へ声をかけましたが、しーんとしたまま、いつまでも返事はありませんでした。

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