第2話 意外となんとか
「要件を聞こうか」
客だと認められた。とりあえず犬が二足歩行してることは気にしてなさそうだ。
「お金がほしい、しごとがあるときいた」
ジョニーは口を開いた。ベラはジョニーより半歩ドアに近いところに立つ。仕事の仲介屋に報酬の発生する労働を紹介してもらうのがふたりの目的だ。見るからにお金のないナリをしていて、それでいてきっと生まれてから誕生日を20回も迎えていないだろうその未熟な見た目は、周りの大人に何度も相手にされなかった。
この空間と、この家の主の圧迫感もあって少しの沈黙でも、不安を煽る。ダメか、今回も「家に帰ってママの乳でも吸ってな!」ぐらいに跳ね返されるのだろうか。
こめかみのあたりに汗をジワリと感じる。彼女はふたりを観察した後、眉間にしわを寄せながら口を開いた。
「見る限り、ヒョロヒョロだが、お子様に何ができるんだい」
「おこさまじゃない!」
ジョニーは声を荒げた。すると、すかさず後ろにグイッと引っ張られた。ベラだ。
「な、なんでもする、わたしたちには他にあてがない」
ベラが言う。ジョニーはもう喋らないで、ここを断られると困るでしょと肩をペシペシと叩く。
彼女は目をそらすことなくこちらを見ている。
「…ふーん、で、いくら欲しいんだ」
今回はいつもとちがうぞ、椅子にもたれ少し考えている様子にも取れる彼女の表情から察した。
「多ければ多いほどいい」
ジョニーは大きな声で言った。ほーう、ガキがよく言うねぇ、と聞こえた気がした、彼女は小さく二回頷いていた。これは仕事が貰えるのかもしれない、ベラは期待した。
「ちょっと待ってな、ちょうどいい、仕事があるよ、ただし…」
犬と人間でコンビ組んで仕事を始めます サンクロー @inu157inu52
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