犬と人間でコンビ組んで仕事を始めます

サンクロー

第1話 ここまで歩いてきた



「イッテ」

ベラは地面につまづいた。こけまいと腕を伸ばし、脚を前に出しベチ、と靴底から音を出す、運動できない奴のつまづき方だ。

鈍臭いやつだなあ。ガシガシと歩きながらジョニーは渋い顔をした。

「きをつけろよ、着いたぞ」


季節は秋、人と犬がいる。とても綺麗とは言えない身なりをしている。日は登っているが、風は冷たい。人は女であり、外見に色気はなく、中性的で、覇気はない。帽子と肩掛けカバンを身につけている。こちらはベラである。

犬の方は変わっていて、二足歩行をしている。歩くときは腕を振る、人と似たような服を着る、そして人と会話する。こちらがジョニーである。

変わった組み合わせのように思えるが、大きな共通点がある。ふたりとも金がない



ベラは頭を一回ポリっと搔いて、目の前の一軒家を見上げた。木が沢山貼り合わせられている屋根と壁。周りには植物が無秩序においおいと茂っている。一階にも二階にも窓は付いているが、窓際に物がごちゃごちゃしている様子で、薄暗いのもあり、部屋の様子は確認できない。玄関の周りの柱には、紫や緑の石が埋め込まれている。常人の住む家ではないとふたりの頭はすぐに理解し少し嫌な顔をした。しかし、しょうがないのである、ここには用事があってきた。


ふたりは少し緊張し表情で玄関の扉の前に立ち、つばをごくりと飲み込んだ後、エイっ、とドアノブを回す。部屋の景色が目に飛び込む、物が多くてキタナイ!沢山の家具、物のなかにこちらをにらんでいる人物を発見する。老年の女性のようだ、髪をひっつめている、その眼差しからキツそうな性格を感じ取った。顎を引き、老眼鏡をかわして、来訪者が客かどうか見定めている。


「見たことない顔だねえ、要件を聞こうか」

客だと認められた。とりあえず犬が二足歩行してることは気にしてなさそうだ。

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