第25話 茶封筒

「レイカか…ああ、アイツの指示でここにきたのか」


 …ん?レイカさんと知り合いなのか、この人



「わーかった、わかった。僕くんね、覚えました、ハイハイ。あと、バイトとやらでこの後予定があるのね、ハイハイ、りょーかいりょーかい…」


 カチっ



 機械音がした後、僕の拘束は解かれた。

 僕は大きく息を吐いた、外から入ってくる光は、もう夕方というより夜に近い。



「なんだったんだ…今の」


 男性の声は聞こえなくなり、僕の身体も自由に動くようになった。

 昨日から変わったことに巻き込まれる機会が増えるな、僕。

 大丈夫か、このままうやっていけるんだろうか。



 結局写真を撮れていないが、バイトの時間なので向かわなければ行けない。

 しかも足音が近づいてきている、他にも証明写真を撮る人が居るようだ、早く撤収しなければ。


「すみません、すぐ出ますから」



 外にいる人に一言断り、僕は辺りを見回して、ホコリと虫だらけの中忘れ物がないか確認する。


 確認し、外へ出ようと手をかけたところで、足元に茶封筒が滑り込んできた。



「持って行きな、これでレイカに怒られねぇよ、シシシ」


 さっき聞いてた男性の声だった。

 隙間から、革靴が見えた。外にいる!

 僕は一瞬の出来事に頭が混乱したが、声の主がどんな人か確認すべきだ、という判断をしたため、茶封筒を拾い、バッと外にでた。


「あのッ、名前をッ……!」




 しかし、あたりには人はいなかった。


「…なんでみんなすぐいなくなっちゃうんだろう…」


 僕は茶封筒を握ったままその場に立ち尽くした。

 謎の教育、謎の証明写真の機械、謎の男性、謎の茶封筒…

 僕は頭の整理がうまくいかなかった。


 が、しかし、視界の端に自転車が映り、カゴに入れた荷物が僕にバイトの時間をお知らせする。



「やべ、遅刻する…ッ!」


 僕は、急いで自転車にまたがり、立ち漕ぎでバイト先へと向かった。

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レジ打ちのバイトと掛け持ちで、エージェントはじめてみた サンクロー @inu157inu52

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