【RGW 2】その名はaw

新巻へもん

啓示

【RGW 1】https://kakuyomu.jp/works/1177354054889408453/episodes/1177354054889408619


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 次に意識が戻ったときには、私は真っ白な空間にいた。


 四方八方、見渡す限り真っ白な空間が広がっている。一応、床のようなものがあるのだが、そちらを除くすべての方向の果ては見えない。


 床に横たわっていた私は体を起こす。喉には先ほどまでの締め付けられる感覚がはっきりと残っていた。振り返ったときに見たあの巨体は何だろう? そして、私の喉に伸びた腕の黒い袖に記されていた記号。黒い袖の中で更にすべての光を吸収するかのような漆黒の文字。aw


 あたりを見回す私だったが、温かい光に包まれた空間に私は一人だった。ぐるりと見回しても何の変哲もない空間。私は方向感覚を失い、元々どちらを向いていたのかも分からなくなった。


「ごきげんよう」

 不意に後ろから声をかけられて、私は飛び上がりそうになる。慌てて振り返ってみると、真っ白なデスクを前に真っ白な服を着た中年の男性が座っていた。さっきまでは絶対になかった事象が私の目の前に圧倒的な存在感で鎮座していた。


「えーと?」

「まだ混乱されているようだ。無理もない」

「ここはどこ? あなたは誰?」


 中年男性はにこやかな笑みを漏らす。

「すべての事象の狭間だ。そして、私はここの管理者をしている。一般的には、多くの世界において知的生命体に神と呼ばれることも多いね」

「か、神さまぁ?」


 思わず、素っ頓狂な声を出してしまう。そんな不躾な私に対して、自称神様は相変わらずの笑みを浮かべたままだ。無礼者、と雷とかそんなものが飛んでくることもない。


「よほど混乱しているようだね。まあ、無理も無いか。awの連中の手に落ちかけたのだからね。魂までは変質していないとは思うが、記憶の欠損ぐらいは発生していてもおかしくないな」

「エーダブリュー? 魂? 欠損?」


 私の泣きそうな声を聞いた中年男性は慈悲深い笑みを浮かべた。

「そなたは、世界のバランスを保つための器なのだ。当然、色々な勢力がそなたを自分の色に染めようとする。先のハルマゲドンの戦いで敗れた連中は、その事実を無かったものとしようとしているわけだ。つまり、アフターウォーawの奴らさ」


 ジリリリ。

 いきなりデスクの上にあらわれた物体がけたたましい音を立てる。神を自称する男はその物体の一部をつかむと耳に当てた。そして、何かぶつぶつと独り言を言っている。耳に当てていた物を元の戻すと私に向き直った。


「残念だが、時間があまりない。ここに長時間そなたが存在することで、元の世界に影響が出始めているようだ。そなたを元居た世界に戻すことにしよう。再び目を覚ました時にはすべての記憶が戻っているだろう」


 デスクの前の男性はあごの前で手を組む。その上の目は笑っていなかった。

「もう、愚かな真似はしないことだ。そのような形で運命の輪に逆らったところで、誰も……、そなたを含めて幸せにはならないのだから。少しだけ4つ目の次元の値を戻してあげよう。では、超越者によろしく。いい目覚めのあらんことを」


 そのセリフを耳にしたとたん世界はぐるぐると渦を巻きだし、私はその中に巻き込まれて意識を失った。

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