第2話 ○○だけど……VTuberやってみた
これは私がまだ山奥に囚われていた頃の話.
私が巷で話題のVTuberになったのは,妹の病気を治すためだった.
そのためにはたくさんお金がいる.なぜだって? 表の病院には見せられない.だから裏へ連れて行くしかない.保険もきかない.
我々はしきたりに縛られて,この地から全員では出ることができない.一人は必ずここにいなければならない.昔は良かった.家には常にたくさんの人がいたからだ.でも一人また一人と出て行き,いまでは私達ふたりしか残っていない.誰も戻ってこなかった.白状だから返事をよこさない訳ではないことなんか実は分かっている.この地を離れた同胞は,長くは生きられない.それでも一瞬のきらめきを求めて飛び立っていく.
VTuberになって人気になれば,家からでないでお金をたくさん稼げる.身体を売ることも難しい私にはこれしかない.
弱弱なネット回線とPCで,最低の配信環境だが,それでも,いやそれだから配信を続けられている.カメラを置いて緑のグリーンバックの前で配信をしている.
今日もばれなかった.
補足
これは,いつか長編にしたい.いつか,きっと,たぶん.
ちなみにカンマとピリオドなのは,いつも論文を書くモードのままだからです.
イメージは金髪の尊様.
参考文献はこの記事.
https://note.mu/shintoumuno/n/n88a50a24ef5e
非日常短編集 夢ノ千尋 @Muno
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