第34悪 最低男の最悪な人生 (決着編)

 そんなことばかり、考えていたが。

 そのとき、私の母が突然大きな声で説教をする。


「何よ! あんた達! それでも大人なの!? こんな奴にバカにされて、しかも自分の人生を他人任せにし、大切な物も守れず。挙げ句の果てに神に殺されているのを待つだけ! なんでそれで、悔しくないのよ!!」


 母が叫んだが、その言葉は皆には届かず黙り込む。

 そのときだった。

 地獄から出てきた者達の映像と、残りのインフィニターの愛と紫が見えた。


「四神さん! 私も頑張ります! あなたの愛の為に!」


「ああん! 四神君の為なら、私は何でもするわ! それが、私の人生だもの~ああん!」


「四神さん! 僕は、あなたのお陰で人生救われました! だから、僕はあなたにその恩を返したい!」


「勘違いするんじゃないわよ!! 私は、友達の雫の為にやってるんだから! お人好しのバカな友達の為にね!」


「みんな……」


 私は、感動した。

 これまでやってきたことは無駄じゃなかった事に、人は変われる事が出来るそれを証明してくれた。

 後、他の地獄へ送られた人達がぶつぶつ何かを言っていたが、正直聞く価値もないので何を言っていたのかは、分からなかったがまあどうでもいいので、いいかと思う。


「あんた達! それでも大人として、恥ずかしくないの!? こんな、愛ちゃんみたいな子供でも頑張ってるのよ!……それでも、ちゃんとした大人だって言える!?」


 まだ、大人達は黙って何もしようとしない。 

 次々と、他の人達が天使達に殺されてもだ、そんな光景見て四神は、突然起きてきてそんな一般人を嘲笑う。

 モニターに映っている、一般人をバカにするように。


「あははは!!……まあ、そんな腰ぬけどもに言っても無駄だ、朝顔!! どうせ、そいつらは怖いんだよ! 自分らが、殺されるかもしれないからな~そうだろ? だけど、自分らがやって上手くいかなかったら、どうしようと思い! 誰かに、助けて貰おう任せたいと思って責任を取りたくないだけだもんなぁ~! だから、ゴミクズ虫ケラごとき仕打ちを受けるんだよ! 悔しかったら、意地見せてこいよ!」


 四神の、悪口と煽りは続くだけど、皆は何一つ言わない、だってそれは本当の事だから。

 そして、四神は誰かに電話をすると、モニターの中に映っていた一般の人達の頭上から、カウンターが降ってきた。

 それを手で受け止めるも、そのまま持っていて何もしない。


「おい! お前ら! これで最後だ! これで、何もしなかったら、俺がこの世界を滅ぼす! お前らみたいな、弱くてダメな人間恥なんだよ! 一生、悔しがってあの世で暮らすんだな! 大切な人を、殺られてそれでバカにされて……あははは!!」


 四神の、言動は先程までゼウスシスを倒そうとした人間とは思えない。

 どう考えても、この人の方が悪人ぽいので。


「いい加減にしなさいよ! 絶対に、あなたの思い通りにさせないわよ!」


「やってやるよ! 一か八かだ!」


「死んでいった、人達の為にもやるよ!」


「大切な、人をこんな奴らの為に犠牲になんかせないから!」


「俺達は、ダメでクズでもない! やってやる! 俺の威厳のために!!」


 皆が、漸くやる気をだしカウンターを使い始める。

 そして、その力を開花し次々と天使達を倒し、いよいよゼウスシスだけになった。


「バカな! 何で、こんな何も取り柄のない愚民どもが何故!? あり得ない! あり得ない!! こんなことが、あってたまるかぁぁぁ!!」


 ゼウスシスは、頭を抱えて動揺して叫ぶ。

 そんな中、一般人も四神に対して言いたいことがあったのか、何かを叫んでいる。


「私達も、やったわ! 後はあんただけ!」


「負けたら、承知しないわよ!」


「そうだぞ! お前負けたら覚えとけよ!」


「絶対に、倒すのよ! あんたを倒すのは、私達の役目だから!」


 そして、四神はニヤニヤと不気味に笑い何故か嬉しそうだった。


「よくやったぜ! お前ら! これで力が使える!!」


「何を! 私の力を忘れたのか! それに、そんな力はもうないはずだ! だから! 何も状況は、変わってないのだよ!!」


 ゼウスシスは、焦っていた明らかに冷汗をかいていて、図星をつかれたみたいで顔も青ざめていた。

 だけど、四神は正反対で笑っていて、それも余裕の表情でニヤニヤと。


「後、お前に大事な事を教えてやるよ!」


「何だ! 言ってみろ!!」


「お前の、神は人間より上だと言うのは、誤りだ。そもそも神と人間を作ったのは、宇宙人だからな! だから、お前の話は意味ねぇよ! 後、人間がどうしようもないと言うのはちげぇ! 神は本来、一人じゃ何も出来ない雑魚! つまり言いたいのは、お前らは人間に助けて貰えないと、何も出来ないゴミ生物って事だよ!!」


 ゼウスシスは、体を震えさせて頭を抱えてぶつぶつ言っている。


「嘘だ……嘘だ……嘘だ! 絶対に、神が人間より上なのだ! 父上の力が貴様ら、下等生物に負けるはずがない! 父上は偉大だ! そんな父上の力が、こんな奴らに負けるはずがなぁぁぁい!!……だから! うそなんだぁぁ!」


 ゼウスシスは、叫びながら体を金色に光らせる。

 だが、四神のカウンターの色が変わっていないのを見て、落ち着いたのか口調が元に戻る。


「あははは!! な~んだ! カウンターの力が変わっていないではないか! 四神! 残念だったな! そんな物で、私に勝とうとは片腹痛いわ!!」


 ゼウスシスは、笑っていたが四神はも笑っていて余裕の表情だった。


「何故だ! 何故笑っている!? 何が可笑しい!」


「はあ? 俺が変わってないと、おもうことだよ! 試して見るか!」


 四神は、ゼウスシスの元へと突進し拳を前に出して、突っ込んでいく。

 ゼウスシスは、笑って四神の拳と自分の拳をぶつける。

 だが、四神の拳が勝り前に吹き飛ばされる。

 明らかに、四神の拳はシルバーの色で、カウンターも銀色っぽいのに。


「バカな! あり得ない!」


「まあ、お前はそれが限界か……俺のは、プラチナだ! だから! お前に勝ったたんだよ!」


「そんな! プラチナと言えば、伝説の力を持っている人物しか、持てないのだぞ! それも、貴様のようなやからが力を扱えるなど、絶対にあり得えるはずがない! そんなことは、あり得るはずがないんだぁぁぁ!!」


 ゼウスシスは、また四神に拳を前に突き出しながら、突っ込んでくる。

 だが、四神は一瞬でその場から姿が消える。


「何処だ! 何処にいる!」


「ここだぁ!!」


 四神は、ゼウスシスの頭の上にいた。


「白金式! 七転び龍気ぃぃぃ!!」


 四神は、ゼウスシスの頭にプラチナ色に染まった足で、かかと落としを決める。


「ぐはぁ!!……バカな!」


「これでお前も、神の力を失ったな!」


「何!?」


 ゼウスシスは、なんと神の力を失い天使の羽を持っていて、と言うか天使の力しか持っていなかった。

 しかも、もうボロボロでほとんど人間と代わらない力しかなかった。


「まて!  助けてくれ! 頼む!」


「はあ!? 問答無用! お前のしてきた事は、あいつらが裁く!」


 四神は、ゼウスシスを斬り、その後出てきた渦に飲み込まれ、なんとかゼウスシスはこの世の世界に移動した。


「あははは!! 愚かな! 人間世界の住人を殺す、手間が省けたわ!」


 そう言いながら、ゼウスシスはカウンターの力を使い、一般人を殺そうとする。

 だが、力は使えず一般人に囲まれ今にもボコボコにされそうだ。


「何故だ! 何故だ! 何故、力が使えぬ!!」


「それは、俺がこのカウンターの力で、お前の力を消したからだ! これで、お前も普通の人間と代わらねぇ!」


「ふざるなぁー!! 何でこんな、下等生物と一緒にならなきゃならない! 神は、偉大なのだぞ! こんな!……こんな!……連中何かに! 負けるわけ……ないだろ!!」


 四神は、ニヤニヤと笑いながら不気味に嘲笑う。


「はあ!? 何で、人間が弱いと思えた! 人は、信念を持って戦って始めて、本領を発揮する者だ! それに、お前ら神は人間をなめすぎだ! 人の、苦しみや思いをなめるなぁー! 人間様をなめるんじゃねぇーよ!!」


「ギャァァー!!」


 ボコバキと、殴られる音や蹴られる音が鳴る。

 その光景は見るも無惨。

 それから、ゼウスシスの姿が見えたと思ったら、ボコボコにされていてとてもじゃないが、原型を止めてない。

 まさに、ぼろ雑巾のような状態で倒れていた。


「おい! エロ神! この世に戻してくれ!」


 そう言うと、私達は元の世界に戻った。

 そして、私は小声で四神に力が何故発動したかを聞く。

 だけど、私はわざとこの世の世界の人達を怒らせて、力を発動したことがなんとなく分かってしまう。


「四神さん……どうせ、わざとあの人達怒らせたのでしょ……力を使う為に」


「うるせぇなぁ! 悪かったよ! そうするしか他なかったから、しょうがねぇだろがぁ!! 力を使う為に、アイツらが燃える心を持ってないとプラチナゴッドの力が使えないからな!!」


 やはりそうだ。

 わざとそうしたのだと、それに神に頼らないで一人ひとりが、ちゃんと考えて自分で責任をとり行動し、咲見さんのときのような被害者を出さないように、同調圧力を消したのだと、分かった瞬間。

 この人は、やはり悪い人ではないと確信する。

 四神は照れていて、その事について言及しても、全く何も言わないでいたが。


「こらぁぁぁ! 四神! お前を倒す!」


「あんたを、倒して私達が王様になってこの世を良くするわ!」


「いいや! 俺だ!」


 そう言うと、四神は一般人に囲まれ喧嘩をするのだが、やはり一般人のパンチも蹴りも避けて一発も当たらず。

 四神によって、ボコボコにされてみんなたおれていく。


「はあ? お前ら弱すぎだろ! それで、よく俺を倒すとかほざけたな!」


 皆は、悔しそうだった。

 そして、私は文の方へと向かう。


「文~無事だった~!」


「無事だよ! 雫!!」


 私達は、再会に喜んでいると四神が突然蹴り地獄の人達は、送り返された。


「お前らは、さっさと地獄に戻りやがれー!」


「あんた!  何すんのよ……ぐはぁ!」


「うわぁぁ!!」

 

 文と、悪薬を使った者達は、その黒い渦に無理やり四神が蹴り飛ばして中に入れて、その渦とともに消えていった。

 地獄の者達は、居なくなり霧塔だけが残る。


「四神さん! 感動しました!」


「お前も、よくやった! だから、自分を少しは褒めていいんだぜ」


 霧塔には、優しいのか励ましの言葉しかなかった。

 だが、次の瞬間。

 咲見が、四神の腕と自分の腕を組む。

 しかも、間接技を入れられたのか、四神が離そうと奮闘するが、離れないように更に力をいれて離れられないようだ。


「離せぇ! ゴラぁぁ!」


「離さないもん! 絶対に、シーちゃんの腕わ!」


 四神が、もがいているが。

 女性人は、追い打ちをかけるように言う。


「四神さん! お幸せにね! もしも、浮気したら……承知しないからね!」


「私も、ああん! 今回は負けたわ…」


「お前ら、負けとかいいから助けろよ!」


「おい! 堅石! どうにかしろ! お前! 友達だろ! 一応!」


 堅石は、歯を食い縛り血の涙を流しながら、お祝いの言葉を述べる。


「くそーー!! お幸せにーー!!」


 そのあと、鉄矢にも頼むのだが何も言わないかった。

 そして、いよいよ私に頼ってきた。


「助けろ! 頼むから!」


「嫌ですよ! あなたがまいた種なんだから、自分でどうにかしたらどうなんですか……ふん!!……」


 私は、その光景を見ると無性に腹が立ったのでとりあえず暫く無視した。


「やっぱり! シーちゃん好き~!」


「好き~! じゃねぇよ! 離せよ! ゴォラ!」


 私は、何か閃いたのか四神について小説を書くといい、そのタイトルを言う。


「で! その俺の人生を書いた小説のタイトルっていうのはなんだよ……最後だから、特別に聞いてやる」


「それは…最低男の最悪な人生です! 最低最悪な男が、実はいい人って話です」


「ケッ! そんな事を聞いた、俺がバカだったぜ!」


 四神は、照れ臭そうにその後私の顔から目をそらす。

 そして、咲見に腕を繋がれて皆に祝福される。

 まあ、本人は嫌そうだったが。

 本当は、凄く本心は嬉しいなのだろうと思うと、何だか微笑ましく見えた。

 私は、初恋で完全に敗北した、だけど不思議と辛くなく、楽しくなっていた。

 四神が幸せになってくれて、そして咲見が嬉しそうに満面の笑みで幸福そうにしていたから、つい自分のことのように。

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最低男の最悪な人生 黒金 影輝 @voltage

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