第9話捨て去る覚悟
OFABの職員が放った弾丸は吉永の胸元を貫いていた。
「いいかそこのガキ共、貴様らには偉大なる同志より粛清の命令が出ていない為今回は見逃してやるが今度この国で怪しいことをしてたら容赦しないからな」
そう言ってOFABの職員は吉永が持っていたものさしの在り処を示した地図を奪って去っていった。
「吉永さん凄い血が出てるけど大丈夫ですか?」
その時の吉永はまだ微かに息をしていた。
吉永は最後の力を振り絞りこう言った
「いや、もう無理だ。最後にひとつ言わせてくれ、スタフィック・バスクへ向かい河野という爺さんに会え」
そう言ったが最後、吉永が動くことはなかった。
泣き崩れる一行。
吉永の死を見て彼は決心した。
「なぁ千鶴、小泉、俺はラグナロクから世界を救うため命を捨てるよ」
「それは本気で言っているのですか?」
「あぁ、ほんとだ」
彼の目には決意が宿っていた。
「吉永さんは俺のせいで死んだも同然だ。だから俺はこの命に代えてでも今生きているすべての人を救いたいんだ!!」
「それなら仕方がないですね。私も協力しましょう。あなた方2人では危険です。小泉家が責任を持ってあなた方をお護りします。もうこれ以上の犠牲を出さない為に…」
「え?いいのか小泉」
「もちろん」
「なぁ長瀬!!小泉さんも一緒に探してくれるらしいぞ!」
「それじゃあ行くか。吉永さんが遺した街へ」
そうして俺たちは吉永の遺した街、スタフィック・バスクへと向かった。
8月に入りヤマト帝国では猛暑日が続く季節だが北の国だけあってオウビアの気候は過ごしやすいものだった。
吉永に別れを告げレイニアを旅立った片岡、千鶴、小泉の3人はスタフィック・バスク行きの列車に乗っていた。
「ん?千鶴どこへ行くんだ?」
「トイレ」
「またかよ!もうすぐ着くから早く戻ってこいよ!」
「うん、わかった。」
3人を乗せた列車は曇り空のスタフィック・バスク駅へと向けて走っている。
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「やはり小泉家は我々の計画に厄介な存在であろうかと…早急に対応すべきです。」
「やはりか…例の手順通り奴らを幽閉するしかなさそうだな…それと例の吉永という男 奴はどうなった。」
「奴は情報を我々に開示した後死にました。しかし、ここで1つ重大な誤算が…」
「む?なんだね」
「例の計画通り吉永を始末し、地図を入手しようとしていたところOFABの職員に奴は粛清され、地図が奴らオウビアの連中に渡ってしまいました…」
「カワシタ…軍の出動準備は出来ているな」
「軍部庁長官の名にかけて奴らとやりあうのに万全の体制を整えてあります!」
「よろしい…何か理由をつけて奴らへ戦線布告しろ。奴らを叩き潰し地図を奪い返すのだ。我々の計画にあの地図は必要不可欠だからな…」
サヴェイモンド ラリゲンロ ハシノアサヒ @Hasinoasahi
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