命運

 10年後ー


「どういう事だ、絶滅どころか、ちっとも減っていないではないか」

「そ、そんなはずは…ちょっとこの10年のデータを確認してみます」


 確かに地球人類は、何事もなかったかのように今もその人口を増やし続けている。早期に異常に気付いて対策を打ったのかとも思われたがそうではなかった。そもそも、全人類に対策を打つことなど不可能でしかない。


「こ、こんなことが」

「どうした、何か解ったのか」

「それが…」


 彼らの住むイグナ星、その惑星の公転周期は、地球で言うところの3650日だった。


「こいつらの寿命は、なんと平均8年です」

「なに?たったの8年だと」


 そう、彼らにとっての10年とは、地球人類にとっての100年だった。


「そんな短命で、よくここまでの文明を築けたものだな」

「では、どうしますか」

「可哀そうな生き物だ。今回は見逃してやろう」


 彼らはまるで、人類が小動物を愛でるかの様な気持ちになり、イジメては可哀そうだとこの地球を我が物にすることを止めた。


 かくして人類の絶滅は、人類が気付かないところで中止となったのだった。

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人類絶滅計画 井湧敬一 @kiritokeiichi

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