一人の人間が超能力の使い方が書かれたノートを拾います。
使える力は「瞬間移動」「未来予知」「透視」などどれも「あればいいな」と思うものばかり。
しかし実はその能力には思わぬ落とし穴があったのです。
ノートの持ち主は次々に変わっていき、その裏側には思わぬ真実が隠されていたという物語です。
話の構成が特に練られていて、あえて時間軸として後に起こった事件から描写されています。
最初はどういう事なのかと思った出来事が少しずつ関係性が明かされていき、伏線がつながった時はじめて事態の全貌が見えるという作り方には感服するばかりでした。
短く読みやすいので、気軽に楽しめます。
是非ご一読を。
この作品を最初に読んだときの衝撃を、今でも忘れられません。これほど完成度の高い緻密なプロットの上に成り立った作品は、プロアマ問わず、めったに出会えません。
いっき読みをお勧めします。
まず冒頭で、いきなり5話から始まることに違和感を覚えるかもしれませんが、そこはスルーして、とりあえず読み進んでいきましょう。
最初のうち、ありがちな、ちょっとSF風味のホラーと感じるかもしれません。3話くらい読んだところで、くりかえしに飽きる人もいるかもしれません。
が、とにかく最後まで読んでほしい。
そのとき、あなたが唸ることは間違いないのだから。そして冒頭に帰り、作者がプロットに込めた細工に鳥肌を立てる。
じっさい、僕がそうでした。
書き手として、これをどうやって書いたのか、こんな書きかたができるのか、作者に聞かずにはいられませんでした。
答えはプロットを計算しつくした——とのこと。
奇抜な発想で読者を驚かせてくれることの多い作者さんですが、この作品はとくに傑作です。
一分のすきもない綿密なプロットを、ぜひ堪能してみてください。
え? ホラーは苦手?
ご安心を。ホラーと言っても心霊やグロやスプラッタではありませんので。
むしろSF好きには、たまらない作品です。