あとがき

この小説を書くにあたって

家入レオさんの「愛してないなら」という曲を聴いた時、物語が鮮明に浮かんだ。


 主人公は気の強い女性で、相手の人は優しさばかりを与えて愛を与えないひどい男性。そんな二人の別れの物語。


 ――別れるまでに、二人の間に何があったんだろう。

 ――この二人の出会いはどんなだったんだろう。


 考えれば考えるほど楽しくて、執筆が進んだ。


 もともとこの語は、そんな一組の男女の話にする予定だった。しかし執筆にあたり曲を聞きこんでいると、段々ともう一人の男性像が浮かんできた。


 主人公を乱雑に抱く、愛し方を知らない寂しい男性――『あの人』だ。


 どちらかに絞ることもできず、私は二人の男性(『彼』と『あの人』)と一人の女性の別れの物語を書くことに決めた。



 どうして二人の男性像が浮かんだのかというと、歌詞の中に出てくるとあるフレーズが関係している。


「服を脱がせてほしかった そっと」


 このフレーズに、私は二つの意味があると感じた。


 心に着せた服を脱がしてほしかった『彼』、優しく服を脱がせてほしかった『あの人』。


 私は前者を今の恋人、後者を昔の主人公に傷をつけた恋人として物語を書いた。


 「どこにでもいる人」にしたくて、敢えて登場人物に名前をつけていないのだが、そのせいで少し分かりにくいところがあるかもしれない。


 それぞれを別の物語として捉えてもいいし、一つの物語として繋げてもいい。


 色んな楽しみ方をしてもらえたら、幸いです。

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愛してないなら 猫屋 寝子 @kotoraneko

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