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 ポチポチと数字を入力する。自分でやらないとダメだと言われたのだ。スパルタ教師アジサシくんに。

 私の小説売ってよなんて、私のバカー!こんなの嫌だよー!

 グーグルのスプレッドシートというやつ。私が書いてカクヨムで公開している小説のPVを集計しろとのお達し。タイトルは、アジサシくんが入力してくれていた。PVは毎日お昼に自分で入力しろという。えー、メンドクサイ。とゴネたけれど、許してはもらえなかった。

「カクヨムのPVを評価基準にします。KPIというやつです。PVが増えれば、マーケティングの効果あり。増えなければ効果なし」

 厳しいことをおっしゃる。だって、ずっとPVなんて増えていないもの。増える気がしない。というか、仕様では?

「PVをどうしたら増やせるか。どう思いますか」

 わかりません。わかるわけないじゃん。だって、そうでしょう?わかってたらやってるって。ねえ?奥様。そうじゃござんせんこと?

「いいです。七乃さんには期待しません」

 はい、そうしてください。はじめからそうしてくれればよかったのですよ。

「これは、仮説と検証というやつです。PVをどうしたら増やせるかという問いに、仮説を立てるんですね。

 ひとつは、ツイッターでつぶやけばいいという仮説です。フォロワーがいなければ、なにをつぶやいても無駄ですからね。二十五人じゃあ、拡散力がない。つぶやきつつ、フォロワーを増やす工夫をしなければならない。

 とりあえず一日三十回つぶやいてください。あ、価値のある内容ですよ?どんな人が小説を読んでくれるか想像して、その人にとって読む価値のあるツイート。わかります?そうすれば、すこしはフォロワーも増えるでしょう」

 嘘くせー。私は口にださない。スパルタ教師に逆らってはいけない。けれど、表情に出ちゃってたみたい。

「あ、嘘くせーって思っているでしょう」

 すごい。ピンポーン、大正解。

 成長したものだなあ、アジサシくんは。学生の頃、他人の表情を読むなんて難易度の高い技は使えなかったのに。お姉さんはうれしくも、すこし寂しいよ。私の知らないアジサシくんになってしまったみたいで。ちょっと遠くへ行ってしまった感。

「ではまず、仮説と検証から経験してもらわないといけませんね」

「はい?」

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そんなに言うなら、私の小説売ってよ! 九乃カナ @kyuno-kana

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