4
ポチポチと数字を入力する。自分でやらないとダメだと言われたのだ。スパルタ教師アジサシくんに。
私の小説売ってよなんて、私のバカー!こんなの嫌だよー!
グーグルのスプレッドシートというやつ。私が書いてカクヨムで公開している小説のPVを集計しろとのお達し。タイトルは、アジサシくんが入力してくれていた。PVは毎日お昼に自分で入力しろという。えー、メンドクサイ。とゴネたけれど、許してはもらえなかった。
「カクヨムのPVを評価基準にします。KPIというやつです。PVが増えれば、マーケティングの効果あり。増えなければ効果なし」
厳しいことをおっしゃる。だって、ずっとPVなんて増えていないもの。増える気がしない。というか、仕様では?
「PVをどうしたら増やせるか。どう思いますか」
わかりません。わかるわけないじゃん。だって、そうでしょう?わかってたらやってるって。ねえ?奥様。そうじゃござんせんこと?
「いいです。七乃さんには期待しません」
はい、そうしてください。はじめからそうしてくれればよかったのですよ。
「これは、仮説と検証というやつです。PVをどうしたら増やせるかという問いに、仮説を立てるんですね。
ひとつは、ツイッターでつぶやけばいいという仮説です。フォロワーがいなければ、なにをつぶやいても無駄ですからね。二十五人じゃあ、拡散力がない。つぶやきつつ、フォロワーを増やす工夫をしなければならない。
とりあえず一日三十回つぶやいてください。あ、価値のある内容ですよ?どんな人が小説を読んでくれるか想像して、その人にとって読む価値のあるツイート。わかります?そうすれば、すこしはフォロワーも増えるでしょう」
嘘くせー。私は口にださない。スパルタ教師に逆らってはいけない。けれど、表情に出ちゃってたみたい。
「あ、嘘くせーって思っているでしょう」
すごい。ピンポーン、大正解。
成長したものだなあ、アジサシくんは。学生の頃、他人の表情を読むなんて難易度の高い技は使えなかったのに。お姉さんはうれしくも、すこし寂しいよ。私の知らないアジサシくんになってしまったみたいで。ちょっと遠くへ行ってしまった感。
「ではまず、仮説と検証から経験してもらわないといけませんね」
「はい?」
そんなに言うなら、私の小説売ってよ! 九乃カナ @kyuno-kana
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。そんなに言うなら、私の小説売ってよ!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます