ノート>>1

mi-o

第1話

「ちょ、重い」

図書委員ってもっと楽かと思ってたのに...

放課後の図書室。

私(梓)と雪乃は、先輩に頼まれて図書倉庫の整理をしていた。



「梓ー、ちょと来...て」

雪乃が辛そうに言ったので急いでいってみると、頭の高さまで積まれた本を抱える雪乃の姿があった。

上から本を何冊かとって並べたところで、全て並べ終えた。


「梓ー、ありがとう〜倒れるかと思ったよー」

「そりゃ、あんだけ積んでればね笑 これで全部だよね」


「うん。先輩に終わったって言いに行こ

でもって、帰りにアイス食べよー」

「ハイハイ、でもちょっとその前にここの本見ていってもいい?」


「いいけど、先輩も図書室の方の並べ替え終わっちゃうよ」


少し不満げな雪乃を連れて、一番古そうな本棚の前まで来た。


「なんかワクワクしない?こういうのってミステリーのお決まりでしょ!」


「梓のその自信はどっから来るのさ〜」

そんなことを話しながらも楽しそうな雪乃が面白かった。



「なんもないじゃんかー、梓もう行こうよ。

ここなんかホコリっぽくて...」


本棚を見ても特にめぼしいものはなく、

雪乃も私も帰ろうとした。


「あっ、うん、ごめんごめん。」

私も帰ろうかと思った時、一冊本が目に入ってきた。

嫌、何かその本のようなものに惹かれたのだった。


「待って。雪乃コレ見てよ!」

「何これ、本ってゆうよりノート...じゃない」

ノートを手に取りパラパラめくると、

中には手描きだったり、プリントを貼り付けてあったりと、手作りだということは明確だった。


何が書かれているのか。ふと思い、読もうとした時だった。


倉庫の入口から先輩の声が聞こえた。

「あずさー、ゆきのちゃーん、もう終わったー? 『そろそろ職員会議だから帰れ』 だって」


倉庫内の本を無断で並べ替えるのはダメだということは分かっていたのでとっさに、

「…はい!終わりました!!い...今!行くので図書室の入口で待っててください。」

と、言って倉庫から遠ざける策以外思いつかなかった。



急いで、入口に置いたスクールバッグを取り

先輩の所まで行った。


ノートは戻した。









はずだった...アイスを食べるため駅前に行った時、梓はノートを手に持っていた。


「やばい!」そんなこと分かっていた。

二人して顔を見合わせるがいい案などない。


気づいた時には、図書室はおろか学校も閉まっている時間帯だったのだ。


仕方なく 梓は明日、朝一で雪乃とノートを戻すことにした...







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ノート>>1 mi-o @mi-o

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ