旧知の亜種
レインは、アイリスと志願してきたエアルを連れ、王都クレセリアを出ようとしていた。
「レインさん、準備とかはいらないんですか?」
「あぁ、シュヴィの話を聞く限りだと亜種からは攻撃してきてないんだろ?」
「はい、こちらに来ている情報では一方的に攻撃していてそれが全く通じなかったためにギルドへと救援要請が来たようなので」
エアルの言葉に続きアイリスも口を開く。
「それがどうかしたのですか?」
「いや、多分なんだが相手は俺が昔戦ったやつだと思う」
「なぜ?」
「俺が前回戦ったのは3年前だ。その時俺はあいつを仕留めていないんだ」
「逃げられたのですか?」
「いいや違う。あいつはな、人間以上の知能を持っててさ。当然俺らの言語も話してきて戦い続けるうちに仲良くなったんだ。それでまた戦う約束をしてあの時は別れたんだけど、そういえばいつにするかとか全く決めてなかったもんな。多分あいつがしびれを切らして出てきたんだと思うわ」
そのレインからの返事にエアルとアイリスは呆れるしかなかった。
「まさか今回の件がレインが発端とは思いもしてませんでした…」
「とゆうわけだ。早いところオルテアに行こうか」
「どうやって行くのです?今から馬車だと半日程かかりますよ?」
「それなら心配いらないさ。俺の相棒でいくからな」
レインの相棒、その存在を知るエアルと知らないアイリスでは全く異なる反応をしていた。
「レインの相棒?なんだか凄そうね‼」
「アイリスさんでしたっけ?レインさんの相棒はレインさんほどではないにしろ十分に
「そんなに?」
「ええ、そんなにです」
「そんなでもないと思うんだけどな」
そう言うとレインは相棒を呼び出した。
「来い!レヴィー!!」
レインの声に応じ現れたのは長い銀髪の少女だった。
「私の出番?」
「そうだ。来てもらってすぐで申し訳ないんだが早速お願いしたい」
「いいよ。どこまで?」
進んでいく会話についていけないアイリスとエアルは、レインの方を呆然と見つめることしかできていなかった。
「レイン、その女の子は?」
「エアルなら見たことあるかもしれないが、こいつが俺の相棒、空間を司る精霊レヴィー・アークだ」
「それで、この子が私達を運んでくれるの?」
「そうだ。まあ、運ぶっていうのは少し違うと思うけどな」
「?」
「さっきこいつの説明をしたときに言ったろ?空間を司る精霊だって。レヴィーの使う魔法は
その言葉に今度はアイリスが納得したような反応を、エアルは意味がわかりかねているような反応を見せた。
「どちらにせよ亜種戦はどちらも使うんだ。直にエアルもわかるから」
「?まあなんの事かはよくわかりませんが、レインがそういうのなら」
「それよりも急ぐぞ。わざわざレヴィーを呼び出した意味がなくなる」
「そうね」
「レイン、座標を指定して」
「あぁ。座標はO-14-02、オルテアの外壁の西側で頼む」
「了解。では、座標指定型高精度空間転移魔法発動」
レヴィーが魔法を発動すると、4人は光に包まれ、眩しさに慣れる間もなく気がつけばオルテアに着いていた。
「こんなに早く移動できる魔法があるならなんで皆覚えないのかしら?」
アイリスがふと口にした言葉に答えたのはエアルだった。
「さっきレインさんも言ってましたがこの魔法は
「でもさっきレインは使えるって言ってたけど?」
「彼は例外なんです。私達とは別次元の能力の持ち主なんですからそこは引き合いに出してはいけないですよ」
エアルの物言いに反論しようとしたが、事実であることには変わりないためレインは何も言わなかった。代わりにレヴィーへと声をかけた。
「レヴィー、助かったよ。ありがとう」
「このくらいなら構わない。また何かあったら呼んで?」
「もちろんだ」
そう会話をすると、レヴィーはどこかへと消えてしまった。そして、空間転移のインパクトにやられていたが、目視できる範囲にいたバハムートに、レイン以外の2人は息を呑むのだった…
お人好し最強魔導士の冒険譚 神崎あやめ @badstory1
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