母がトイレを神殿にしている。
山奥の住人
第1話
私の家のトイレは亡くなったペットの写真が詰まっている。いつも飾っているのは母親だ。今まで彼女が買ったペット私が生まれた後にいた犬の写真も含まれている。なぜトイレに飾るのかを母に聞いても何となくとしか答えてくれない。わざわざ自分の愛するペットの写真をトイレと言う排泄をする場所に置く意味がわからなかった。
それから数十年後母は亡くなった。そして気づいたら私は結婚して母親になっていた。今ならわかる。なぜ自分の愛犬や愛猫の写真をトイレに飾っていたのか。きっと母にとってトイレは唯一素直になれる場所だったと思う。私たち子供の子育てや祖母の介護に一生懸命頑張っていた彼女にとって落ち着く場所は限られていたと思う。しかしトイレは個室で誰も入ってこない。そんな居場所が欲しかったのと自分の心を癒してくれた存在をそばに置きたかったのだろう。しかし1番最後に気づいた事はその中で私の写真も入っていたことだ。私は母にとって良い娘だったのだろうか。いつも反発して悲しませたことをたくさんある。しかしその写真がある事実に気づき、彼女にとってそういう存在であってほしいと思う。
母がトイレを神殿にしている。 山奥の住人 @evelator
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。母がトイレを神殿にしている。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます