第3話 香織

 足取りは重い。香織は祐一郎が去ったあと会計を済まし、カフェを出た。祐一郎の反応は、やはり思っていた通りであった。香織は自分から告白なんてしたことがない。ただ全然好きじゃない相手から告白されることはよくあった。少しでも気になる人には、近づくこともできなければむしろ距離を置かれてきたように思う。人々は人々を誤解して生活している。本当に解りあえている人たちなんてありえないと思う。近づこうとすれば離れるし、離れたくても追ってくる。まことに不条理だと思う。

 

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いつかのあした 平川 瑠利 @misspinkdolly

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