終章 僕の昔の物語
巣から落ちた小鳥は、優しい男の子の靴先に蹴飛ばされて死にました。
命を蹴り落した感覚は洗っても落ちなくて。
どうしたら許されるのか、持ち帰った死骸を見ながら考えた。
苦悶に満ちた死に顔とやせ細った粗末な体。
どうしてこんな命を作ったのだろう。
歪んだ憤りのはけ口を求めて巣の木の傍へ。
巣立つ直前のヒナ鳥が羽を拡げて練習する。
少し離れた場所から、それを見守る親鳥の視線は、僕の手のひらにあるヒナの死骸には向けられない。
家に戻って雑誌と服をリュックに詰め込み再びあの場所へ。
巣の真下に作られたごみの城の上にヒナを置く。
もうすぐ戻るからね。
祝詞と共に火を灯した。
黒煙に炙られ飛び立つ兄弟は落下し、地面にのたうちまわる。
僕はそれを両手で拾い上げ、燃える兄弟の元へと投げてやった。
こうしてひな鳥は皆天へと羽ばたいた。
僕の小さな武勇伝。
星屑の祈りに託して ヒツジノ @hituzino
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