第3話:読書の恩恵

俺は1週間ほど本を読み続けた。夜、少し暗くても読むのを続けたせいで目が疲れたが暗さには慣れた。結局1週間で何を覚えられたのか・・・。


『集中LV:3』集中力が高まる。LV3になったことで視力にも少し上昇補正がかかる

『暗視LV:2』暗いところでも少し明るく見えるようになる

『速読LV:1』文章を読む速度、理解する速度が少し上がる


便利そうなのが3つも付いたようだ。速読とかは更に上げれば学校の勉強が楽になりそうだ。体はまだ幼稚園児だけども。集中は前から持ってた『投擲』と組み合わせたら命中率とかを上げられそうだ。組み合わせての使い方を考えるのも楽しい。


そして俺は読んだうちの1冊の小説からアイデアを得た。そろそろ時間だから試してみるか・・・。


_____________________________________


「空くん、治療の時間だよ。といっても『回復魔法スキル』を掛けて傷の治りを早くするだけだけどね」

若い女性の看護師さんが入ってきた。そう、診察の時間だ。元√ではケガが治らなくて学校や外に行けなかったからバッドエンドだったんだ。自分でも回復が出来れば多少はマシになるかもしれない。

「看護師さん看護師さん!『回復魔法スキル』教えて!」

「あらあら、このスキル覚えたいの?お医者さんが持ってるものだから凄く難しいよ?」

看護師さんは苦笑いしながらも基礎を教えてくれた。高校2年生までの知識しかないがなんとなく理解はできた。


『初級回復魔法スキル』簡単な擦り傷、切り傷を治す速度が上がる。消費魔力10


「できた!」

俺が手のひらに力を込めると淡い緑の光が現れた。ステータス上では再生力上昇が3分ほどついている。今のステータスでは1日12分か・・・。ないよりはマシと考えよう。そんなことを思案していると『回復魔法スキル』を教えてくれた看護師さんが目を丸くしていた。

「嘘・・・。君ほんとに4歳?これはもっと早く退院できるかも・・・!」

「もっと早く退院できるの!やったあ!」

これはいい方向に進んでいる。少しずつでも確実にハッピーエンドへ向かっている。


_____________________________________


「さて、空くん。『回復魔法スキル』を覚えたそうだね?」

次の日、俺は診察室に来ていた。院長先生が笑顔で対応してくれているのだが、片手に〈医学大全〉と書いてある本を持っていることから、未知の状況に戸惑っているようだった。

「あ、はい。まだ初級ですけど使えるようになりました!でも自分だと1日12分しか使えないんですよね」

あ、高校生の頃の口調に戻ってしまった。院長先生が驚いたように固まっている。

院長先生は〈医学大全〉を高速でめくると、目的のページに着いたようで、手を止めるとゆっくりと口を開いた。

「もしかして今の幼少期以外の記憶があったりしないか?あるとすれば事故の反動で脳に何かあったのか・・・」

院長先生が本気で悩んでしまった。

「実は・・・誰のかは分からないんですが記憶があります。高校生くらいまでのものが」

「やはりか。よし分かった、使えるものは使ってしまおう。明日から『回復魔法スキル』を自分でも使って再生能力を高め、一気に回復まで持っていこう」

どうやら思っていたよりも状況ははるかにいいようだ。


_裏設定コーナー1____________________________


〈スキル〉と〈ステータス〉

この二つは両親に影響されやすい。まず、〈スキル〉は両親からそれぞれ1つ受け継ぐ。両親が得意としているもののうち1つをランダムで自分のものとして生まれる。

次に、〈ステータス〉。これは両親がそれぞれ高いもの1つずつが高く成長しやすく、低いもの1つずつが成長しにくくなる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

スキルマスターは安心を探す 暇太郎 @mappi0618

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ