11時間目 修学旅行 7

「そろそろお腹すいた〜」

「今、何時だ⋯⋯?」

南沢の声を聞き、俺は腕時計を見った。

「確かに、もうそろそろ昼飯の時間だな」

「先生、ブルックリン・ブリッジを渡った先のダンボというエリアにアーモン・ダインというバケットが有名なパン屋さんがございますの。行ってみませんか?」

「それいいな! 南沢と七草もいいか?」

「うん、いいよ〜」

「大丈夫ですよ」

二つ返事でOKしてくれた。

「なら決まりだな!」

俺たちはアーモン・ダインに行くべく、ブルックリン・ブリッジへと向かった。


「着いた〜!」

ブルックリン・ブリッジを30分ほど渡って、ダンボに着いた。花ノ宮が言うには、「元倉庫街の古い町並みに素敵なお店が点在する今話題のエリア」らしい。

こんな場所がニューヨークにあるなんて知らなかった。

店に入ると、色々なパンが並んでいた。

「どれも美味うまそうだな」

「こちらのお店はバケットだけではなく、ペストリー・ケーキ・サンドイッチがありますの。どれも美味しいですわよ」

花ノ宮が教えてくれた。

「俺、これにしようかな」

俺は1つのサンドイッチを手に取り、レジへ向かった。

七草はバケット、南沢はペストリー、花ノ宮と俺はサンドイッチを買った。


店を出た俺たちは早速袋を開け、買ったパンにかぶりついた。

「美味い!」

「おいひい!」

『美味しい!』

俺の声と3人の声がハモった。

「美味いな、これ! 日本に持って帰りたいくらいだ!」

「でしょう、先生?」

花ノ宮は鼻高々だ。

「俺、もう1個買ってくる!」

俺は再び、店へ入った。

今度はどれにしようか。

迷った末に、俺はバケットを買った。

「あ、教ちゃんバケット買ってる!」

「いやー、七草が食べてるの見たら食べたくなっちゃってさ。俺、食べ物を美味しそうに食べる人が好きなんだ」

次の瞬間、その場に沈黙が流れた。

「あ、あれ?」

ふと見ると、七草の顔が真っ赤になっていた。

「ど、どうした!?」

「先生、殿方からそう言われたら告白のように聞こえますわよ」

「あ、そ、そういう意味じゃなくて⋯⋯えっと、あの、その⋯⋯」

「⋯⋯分かってますよ」

しどろもどろになっている俺を見て、七草がクスッと笑った。

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俺、JKのオモチャです。 卯月みお @mio2041

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