第7話:日常
バラけた世界の一欠片に、浅ましく権力に縋り付く神々の足掻きが飛来する。
「これより第23億〜ん?24億じゃったか?まぁ何回めかの裁判を始める。ッ!ウィ〜ック!」
冷たいコンクリートの壁が囲む、殺風景な部屋に統一感の欠片も見当たらない男女が座り込み、3人の男が裁きを待っている。
「さて〜罪状は?なんじゃコレ??乾燥作業に失敗してお気に入りのパンツを焦がされた?」
裁判を任された裁判長の呑んだくれ龍が首を傾げ、憐憫の眼差しを3人の中の少年2人に向ける。
諦めた顔の1人に対して、少年達は弁明をしたがっている。
「師匠っ!俺達は、失敗してないです。亞朱羅のアホが、逢螺が見えて興奮して、いきなり発熱量を上げて燃え上がったんで、ファイアーストームが発生したんですっ!俺達は無罪です!!」
「ふがっ?えっ?・・・・・スマンッ!寝とったわ〜、えぇっと〜?まぁ、面倒臭いし、全員死刑で良く無いかのぉ〜ヒッくゥ〜」
3人は絶望した。ダメだ!コイツはポンコツ以前に酔っ払いだ!
「2人は無罪で構わない。私のクマちゃんパンツのクマちゃんをグリズリーに変えたのは、そこの火災発生装置だけでしょ?」
声を少し聞いただけでも身体の芯が凍り付く様な感情が全て消失した少女が動き出す。
「ハイッ!全てこの変態魔神が元凶デアリマスっ!」
少年の言葉の後、少女はゆっくりと何かを呼び出す為の陣を引き始める。虚空に淡く光る魔法陣から少し疲れた顔をした美女が降りてきた。
「悪魔ザミエル、御呼びとの事で参上仕りました。お久しぶりです。天吏亞様。」
「ザミエル、あの隕石に貴女の魔弾を使うわ。魔弾の対価はあの変態で宜しく。」
少女はザミエルに淡々と交渉し、対するザミエルも当たり前の様に傅き己の持つ中で最高の銃を差し出した。
「魔弾は問題ありませんが、対価は何を使いますか?目や四肢等では少し弱いかと。」
ザミエルの問いに少女の割れた仮面から見える顔が残虐な笑みを浮かべている。
・・・・・男は多分自分を弾丸として撃つんだろうとタカを括っていた。
「では魔弾の一発目を装填します。外れは有りません。必ず当たります故、ご安心下さい♪♪♪」
男に不安が過ぎる、何故だ?ザミエルがやたらと嬉しそうたが?自分の体から無くなった部分が見当たらない?何故?
「魔弾発射、次発装填して。」
少女がザミエルに次の魔弾を要求した直後、一発目の隕石が砂の団子を握り潰した様に砕ける。
同時に亞朱羅と呼ばれる男は、声にならない悲鳴と共に口から泡を吹いて崩れ落ちた。
「なんじゃ〜?何故此奴いきなり悶えとるんじゃ?団長〜?何を魔弾に使ってるんじゃ?」
酔っ払いの疑問に少女は、また残虐な笑みで答える。
「何って?玉よ?2発しか無いけど、最後の隕石は私が砕くから心配しないで良いわ♪♪♪」
集まっていた女達は爆笑し、男達は顔面蒼白で股間を抑えた。
TRUTH OF A CROSS 柊さくの @bloodcross
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