第5話 エピローグ
「いい天気だ」
レクターは快晴の空を見上げた。
農場のとうもろこしはそよ風に吹かれて揺れている。隣にある牧場から牛の鳴き声が聞こえている。
チャド、マイルズが振り向く。
「いつもの日常が戻ったわね」
つぶやくサニー。
あのインスマスの騒動も連続地震もウソのように収まり話題にもならなくなった。ボストンにもロスサンチェス、ノースロップジャクソンフォードにもいつもの日常が戻った。変わらないのは魔物の脅威や邪神信奉者、テロリストへの警戒である。
農場の上空では三機の小型機が飛び回っている。農薬散布機とセスナ機二機。ダスティと同級生のクリスとデビットである。
「あの子たちは元気だな」
ワトーがうなづく。
「子供は元気な方がいい」
レクターはうなづいた。
その様子を見ている数人の男女達。
彼らは農場を見渡せる小高い丘にいる。
「スパイク。古巣のアコードに戻ってくる気はないか?」
ガーランドは白いヒゲをなでた。
黙ったままのスパイク。
「俺達が来た意味はわかるだろ?」
ジェスロは口を開いた。
「誰かが七十年前のナチスドイツがやっていたことを復活させようとしている」
栗本が核心にせまる。
「探偵は多いほどいい。助手もいる」
「邪神信奉者は星の数ほどいる」
ラズリーとチャールズが口を開く。
「私達もアドバイスがほしいですね」
ベラナが口をはさむ。
「俺にどうしろと?」
黙っていたスパイクが口を開く。
「あの子の盾になってくれないか?あの子のパワーに気づいた者達があの子を利用しようと近づくだろうからね」
ガーランドがはっきり言う。
「そうすると私たちは矛か」
ベラナが推測する。
「そういうことだね」
納得するジェスロたち。
「忙しくなりそうだ」
栗本がわりこむ。
「いろんな所が目をつけそうだな。CIAやNSA、モサド、M16、他国の政府やテロ組織もそうだし邪神信奉者も利用しようと思えば近づいてくる」
ラズリーが言う。
「FBIとしても同じですね」
ヒラーが口を開く。
うなづくハリス。
「そういえば来週はアマチュア一般ジュニアの部の本選レースがあってあの子も出場が決まっている。応援に行ってもいいな」
ベラナはポンと手をたたく。
「あの騒動の後だったからうっかり忘れていた」
思い出すジェスロと栗本。
「あの子の武器は隕石からもらった時空兵器と時間操作、時空操作能力とドロップイン、感覚同調能力だ。それに国連から「ゲートスクワッド」の結成の話が来ていてあの子もオブザーバーとしてワシの弟子として登録することになる」
ガーランドは笑みを浮かべる。
「難しい質問だが。そのチームに入ってもいい。剣術や格闘技、飛び方くらいは教えてやれる。やる事は山ほどありそうだ」
スパイクは快晴の空を見ながら言った。
ダスティと琥珀の間とクトゥルーの呼び声 ペンネーム梨圭 @natukaze12
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