カクヨムコンの読者選考期間が終了して ――数字で見る参加賞――

   

 2月8日になりました。カクヨムコンの読者選考期間が終わりましたね。

 トップページの表示形式も以前のように『注目の作品』が目立つ形に戻りましたし、これでカクヨムコンは終わった、ということなのでしょうか。

 ガチ勢ではない私の中では、応募期間が終わった時点で「終わり」という認識だったので、読者選考期間終盤のカクヨムの雰囲気――選挙の「最後の一票を!」的な――を見て、

「なるほど、これがカクヨムコンというものなのか」

 と興味深く感じました。

 これまでのカクヨムのコンテストでも、中には読者選考の関わるものがありましたし、ならば読者選考期間の終わる間際まで応募者の方々は頑張っていたのでしょうが、ここまで表立って熱意を感じられませんでした。局所的なものだったとか、単に私の目に入らなかっただけとか、そういう可能性もありますが。

 それらと比べるとカクヨムコンは違うのだなあ、という感慨です。

 また、十数回前に「まだ想像でしか知らないカクヨムコンと、一度だけ経験した同時期の他サイトの大きなコンテストとを比較してみる」というエッセイを書きましたが、やはり『同時期の他サイトの大きなコンテスト』とも違いましたね。あちらは読者選考がない分、特にコンテスト時期だけ「読んで! 読んで!」が強いという雰囲気はありませんでしたから。いや、もしかするとこれも私には見えなかっただけで、ランキング上位の方々は出版社からの拾い上げなども狙って、猛アピールをしていたのかもしれませんけど。


 さて。

 本日2月8日、色々なエッセイなどを拝見すると、カクヨムコン期間中に★が何十入ったとか何百入ったとか、華々しい話が書かれているようですね。

 エンジョイ勢の私は「上位の方々は凄いなあ」という穏やかな気持ちで、自分がカクヨムコンで得られた参加賞――「カクヨムコンに応募したことで、どれくらい読んでもらえたか」――を、改めて振り返ってみようと思います。


 今回は「カクヨムコン開始時点、つまり11月29日」と「読者選考期間終了時点、つまり2月8日」の数字の比較です。

 といっても、全部やるのは大変なので、長編の方だけ。それも、カクヨムコン開始時点(11月29日)で応募した5作品に限ります。

 まずは、その中でも私自身が猛アピールしていたイチオシ作品の二つ。

 いや『イチオシ』なのに二つあるのはおかしい、とか言わないでください。それぞれ別の意味で思い入れがあって……。

 一つは、私がWEB投稿するオリジナル小説としては初作品となる『「ウイルスって何ですか?」――ウイルス研究者の異世界冒険記――』。学生時代・ポスドク時代に学んだ知識や外国で暮らした経験など、自分独自のものを色々と詰め込んだ転生ファンタジーです。

 もう一つは『緋蒼村連続殺人 ――転生したら殺人事件の真っ只中――』、小さい頃に推理作家になりたかった私の夢の残滓です。小学校の国語の時間、「物語を書いてみましょう!」という課題で『飛行場の殺人』なんてタイトルの小説もどきを提出するような子供でした。おそらく童話みたいなものを要求されていたでしょうに。それに『緋蒼村連続殺人』は、10代後半の頃に考えたトリックやプロットを原型としているので、まさに『夢の残滓』ということになります。


『「ウイルスって何ですか?」――ウイルス研究者の異世界冒険記――』

(異世界ファンタジー部門、完結済 全45話、341,933文字)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054889084138

(フォロー39、★20、応援ハート291、PV2,155)

(フォロー55、★40、応援ハート426、PV2,816)


『緋蒼村連続殺人 ――転生したら殺人事件の真っ只中――』

(キャラクター文芸部門、完結済 全30話、103,790文字)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054889356374

(フォロー17、★21、応援ハート285、PV1,935)

(フォロー21、★29、応援ハート337、PV2,252)


 どちらも掲載データは、上段がカクヨムコン開始時点(11月29日)、下段が読者選考期間終了時点(2月8日)の数字です。見比べやすいように、こういう書き方にしています。

 まずは『ウイルスって何ですか?』の方から見ていきましょう。

 この作品、2019年4月8日に投稿開始して2019年4月29日に完結しています。開始も完結も昨年の四月、つまり七ヶ月も八ヶ月も前の作品。上段のフォロー、★、応援ハート、PVは、それだけの期間をかけて得られたものであり、それと下段の差が、カクヨムコンの約二ヶ月で稼いだもの、ということになります。

 パッと見て目立つのは、やはり★でしょうね。★20から★40、倍増です! 何ヶ月もかけて入るのと同数の★が、わずか二ヶ月で!

 ただPVを見ると、そこまであからさまではないのですよね。一応、とっくに完結して埋もれるだけ、つまりもうあまりPVも伸びなかったであろう作品が、それまでの――投稿直後を含む――単純計算の月平均PVと同じくらいは読まれているのですから「これもカクヨムコンのおかげかな?」とは思えます。

 前々回も書いたように、PVの増え方に対して★の増え方が極端に大きいとなると「これって★の投げ売りをなさる方々のせいでは?」という心配も出てきますが……。

 それでも。

 きちんと読んだ上で★をくださった読者もおられたことは、この期間にいただいた応援コメントやレビューからハッキリしています。中には「カクヨムコンがなければ、この作品を読むことはなかっただろう」という方もおられます。そうした方々に、私のイチオシ作品を読んでいただき、評価していただけたのですから……。この一点だけでも「カクヨムコンに参加してよかった」と私は思えるのです。


 続いて『緋蒼村連続殺人』。

 こちらは2019年4月27日投稿開始で2019年5月11日完結ですから、先ほどの『ウイルスって何ですか?』ほどではないですが、やはり数ヶ月以上昔の作品です。この作品は『ウイルスって何ですか?』とは違って、「小説家になろう」の方では、「第7回ネット小説大賞」(昨年の今くらいの時期にあった、あちらの大きなコンテスト。私が「カクヨムコンに相当する」と想定していたコンテスト)の一次選考を通過しているので、私の中では自信作の部類なのですが……。

 私のアピール不足なのでしょうか。『ウイルスって何ですか?』と比べると、★もPVも大きく増えたわけではりませんね。いや比べてしまうから「大きく増えたわけではない」と感じるだけであり、とっくに完結して埋もれるだけの作品と思えば、一応それなりに増えている、と言えるのでしょう。

 やはりこれも「カクヨムコンに応募してよかった」と思えるのでした。


 さて、残りの三長編も見てみましょう。

 上の二つほど「読んでください!」アピールはしていないのですが……。


『「冒険者って何ですか?」――元ウイルス研究者の異世界冒険記――』

(異世界ファンタジー部門、連載中、139,935文字)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054890000801

(フォロー13、★6、応援ハート21、PV268)

(フォロー19、★12、応援ハート38、PV354)


『異世界裏稼業 ウルチシェンス・ドミヌス(1)「桃色の髪の少女」』

(異世界ファンタジー部門、完結済 全20話、138,735文字)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054889298697

(フォロー9、★16、応援ハート96、PV380)

(フォロー14、★19、応援ハート101、PV448)


『異世界裏稼業 ウルチシェンス・ドミヌス(2)「季節はずれの肝試し」』

(異世界ファンタジー部門、完結済 全24話、192,410文字)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054889540724

(フォロー4、★4、応援ハート54、PV179)

(フォロー5、★7、応援ハート77、PV220)


 この中で『冒険者って何ですか?』だけは連載中の作品です。『ウイルスって何ですか?』の続編であり、少しずつ書いています。最新話の投稿が2019年11月24日だったので「中断・停止ですか?」と思われそうですが、自分の中では少しずつ書き続けています(次話の原稿執筆状況を今確認してみたら、11月20日に700文字、11月30日に300文字、1月10日に500文字、2月2日と2月3日に100文字と800文字、2月5日から昨日2月7日までに700文字と500文字と1100文字だったので、本当に少しずつですが)。

 下の二つはそれぞれ、2019年4月30日投稿開始で2019年5月9日完結と、2019年5月11日投稿開始で2019年5月22日完結なので、数ヶ月以上昔の作品です。

 猛アピールした『ウイルスって何ですか?』ほどではないですが、放置気味の作品や完結済作品にしては、それなりに★もPVも増えた、と言って良いのかもしれません。

 ちなみに『桃色の髪の少女』は、前回の「ファミ通文庫大賞」で一次選考を通過しているので、私の中では自信作の部類なのですが(だって私、二次選考を通過したことは一度もないですから!)、だからといって★もPVも特別に増えるわけではないようです。


 ついでに、比較のために。

 私がカクヨムコンの期間中に投稿した新作、そちらの★やPVはどうだったのか。

 一応、データを載せてみます。


『邪神城連続殺人 ――赤いチャイナドレスの妖魔――』

(キャラクター文芸部門、完結済 全31話、104,921文字)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054892781812

(フォロー6、★3、応援ハート49、PV300)


 投稿開始が2019年12月30日で完結が2020年1月29日です。カクヨムコン後半の一ヶ月だけなのを考慮すれば、上記の作品と比べてPVは多い方、と言えるのでしょうか。でも投稿直後ならば作品が埋もれにくいのは当然で、それを考えると、カクヨムコンの効果というわけではないかも……。

 結局、あからさまに「期間中の新作だから読まれる」というわけではなく、「とっくに完結した作品であっても、カクヨムコン期間中は宣伝すれば読んでもらえる」というのが、私の手応えでした。



 以上のように。

 何だか今回は、カクヨムコンの総括雑感にかこつけて、自分の作品を宣伝するエッセイになってしまった気がします。

 いや本当に、カクヨムコンとか読者選考期間とか気にせずに、どうぞ今からでも読んでみてください。よろしくお願いします。


 ……と、とりとめなく書いてきましたが。

 なんだかんだ言って、自分のイチオシ作品の評価が★20から★40に倍増する、というのは嬉しい出来事でした。エンジョイ勢の参加賞としては、何よりも大きな賞品でしょう。

 その意味で。

 初めてのカクヨムコン、楽しかったです。

 もしも同じ作品で来年も応募して構わないならば、これらの長編は来年も応募したい、と思うくらいでした。短編の方は一度で十分、今年応募できなかった作品のみ来年応募しよう、と考えていますけどね。

   

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