カクヨムコンの応募受付期間が終了して ――やはり「カクヨム」は「小説家になろう」よりも作品が埋もれにくい、と改めて感じた件――

   

 カクヨムコンの応募受付期間が終わりましたね。

 それに関連して思ったこと、感じたことを、いくつか書きたいと思います。


 まず、全体的な投稿ペースの話。

 このエッセイの中で、何度か「3,000作品が更新されるのに、どれくらいの時間が費やされるのか」について書きましたが、私は結局、当初に計画したほどマメにデータを取りませんでした。

 以前に『カクヨムコン開始前後で投稿ペースはどれくらい変わるのか ――「そもそも1日に投稿される作品数ってどれくらい?」その4――』の中で、カクヨムコン開始直後のデータを示しましたが、その後は。

 時々ポツリと思い出したようにチェックするだけで「きちんと毎日、調べてみる」というのは怠った私。ただし「せめて最後だけは、きちんと見てみるか」と思い立ち、ラスト三日間をチェックしてみました。

 比較の意味で以前に示した「開始直後の約一週間」と一緒に、「ラスト三日間」の「3,000作品が更新されるのに、どれくらいの時間が費やされるのか」をここに掲載してみます。


11/29(金)夜11時頃「11月28日 09:09 更新」約38h

11/30(土)夜10時頃「11月29日 12:42 更新」約33h(土曜日含む)

12/01(日)夜10時頃「11月30日 17:00 更新」約29h(土日含む)

12/02(月)夜10時頃「12月1日 15:04 更新」約31h(日曜日含む)

12/03(火)夜11時頃「12月2日 12:00 更新」約35h

12/04(水)夜10時頃「12月3日 08:00 更新」約38h

12/05(木)夜10時頃「12月4日 07:00 更新」約39h

12/06(金)夜10時頃「12月5日 07:06 更新」約39h


1/29(水)夜10時頃「1月28日 12:00 更新」約34h

1/30(木)夜10時頃「1月29日 12:40 更新」約33h

1/31(金)夜11時頃「1月30日 18:00 更新」約29h


 と少し(38時間か39時間くらい)で投稿されていた3,000作品。それと同じ数の作品が、最後にはと少し(29時間)で投稿されていたわけですから……。

 やはり、ラストスパートは凄まじかったのですね!


 このラストスパート。

 長編を10万文字に到達させるために頑張った、というのもあったでしょうが、長編は無理でも短編ならば、という駆け込み投稿もあったのではないか、と推測しています。

 ……そう思ってしまうのは、自分自身が短編の『駆け込み投稿』をしたせいでしょう。

 前回の冒頭で書いたように「本来カクヨムコンは応募しすぎると不利になる」と悟りながらも、特に1月末は「せっかくの機会だから」と思って、かなり短編を書いて応募していました。

 あらためて数えてみたら、最後の十日間だけで、私が書いて応募した短編は7作品。どちらかといえば量産作家だという自覚のある私でも、これは驚きのペースでした。毎日毎日、よくまあネタが頭に浮かんだもので……。これをずっと続けられたら、一年で約250作品投稿することになりますが、さすがにそれはありえないでしょう。それでは長編や中編を書く暇がなくなりそうです。


 長編といえば……。いや、その話の前に。

 最終的に私が、今回の――私にとって初めての――カクヨムコンに投稿した作品数は、全部で58作品(長編7作品、短編51作品)になりました。


【カクヨムコン応募長編(烏川 ハル)】

https://kakuyomu.jp/tags/%E3%80%90%E3%82%AB%E3%82%AF%E3%83%A8%E3%83%A0%E3%82%B3%E3%83%B3%E5%BF%9C%E5%8B%9F%E9%95%B7%E7%B7%A8%EF%BC%88%E7%83%8F%E5%B7%9D%E3%80%80%E3%83%8F%E3%83%AB%EF%BC%89%E3%80%91


【カクヨムコン応募短編(烏川 ハル)】

https://kakuyomu.jp/tags/%E3%80%90%E3%82%AB%E3%82%AF%E3%83%A8%E3%83%A0%E3%82%B3%E3%83%B3%E5%BF%9C%E5%8B%9F%E7%9F%AD%E7%B7%A8%EF%BC%88%E7%83%8F%E5%B7%9D%E3%80%80%E3%83%8F%E3%83%AB%EF%BC%89%E3%80%91


 それぞれ、カクヨムの検索機能で人気順で表示しています(カクヨムコン応募中はキーワードにその旨を入れているので、それを利用しています)。

 ★の多い順にはなっていないので、何を「人気」に加味しているのか、詳しく解析したい方々には興味深い資料になるかもしれません。特に短編の方はサンプル数が多いので。

 もちろん、検索機能で「人気」に加味している項目が、ランキング評価でも同様に加味されているのか否か、そこはわからないのですけどね。そもそも「ランキング」といっても、コンテストのランキング計算式と、いつもの日間とか週間とかのランキング評価の計算式と、同じとは限らないくらいですし。


 さて。

 先ほど「長編といえば……」と言いかけましたが。

 もともと私は「カクヨムコンには参加しない」とか「参加することにしたが『読まれるかどうか』を調べるために既存の作品で参加するだけ」とか言っていたくせに、結局、カクヨムコンが始まってから新作長編を一つ執筆して、応募しました。

 いや、ただ単純に、カクヨム全体の雰囲気を見ていたら、羨ましくなったのですよ。「コンテストに向けて! 締め切りまでに書き上げる!」とか頑張っている皆様の姿が。

 要するに、熱気に当てられた、ということなのかもしれません。

 ちょうどPCの創作フォルダのメモファイルの中に、簡単に書けそうな長編のプロットが一つあったので、それを使いました。

 今確認してみたら、12月4日の近況ノートに『今月中に書き上げて、来月最初の十日くらいかけて推敲して、残り二十日で投稿すれば間に合う』と書いてあったので、その辺りで思い立ったようです。まあ、いざ書き始めたら全体の話数が大きく変わって(用意したプロットをだいたい2話ずつに分割する形になったので)、もう思いっきり計画が崩れたわけですが。


 先ほどの「羨ましくなった」の中には、エッセイとして執筆過程を詳述なさっている方々を見て「いいなあ」と思う気持ちもありました。私も真似したいくらいでしたが、躊躇しました。

 私の作品、カクヨムコン向けに書くと言っても、あくまでも「文字数が合致する」というだけで、内容的には「ん?」という感じでしたから。推理小説なので応募先はキャラクター文芸部門になるのですが、説明を読むと明らかに違いますし。まあ編集部の望む内容云々は、読者選考に通らないレベルならば関係ないのでしょうけど。

 そんなわけで「わざわざエッセイとして投稿するほどではない」と思いつつも、せっかくだから記録に残そう、おおやけに発信しようと考えて、ツイッターで「#カクヨムコン向け新作長編の制作日記」という、私以外は使わなそうなハッシュタグをつけて、毎日のように執筆過程のあれこれをツイートしていました。

 そうして完成した『邪神城連続殺人 ――赤いチャイナドレスの妖魔――』。厳密には出来上がる少し前、12月30日に投稿を始めて、投稿も終了したのが1月29日でした。

 実はこの作品、純粋に「この作品を読んでもらいたい」という気持ちだけではなく「探偵役が共通する前作『緋蒼村連続殺人 ――転生したら殺人事件の真っ只中――』を宣伝したい」という少しよこしまな気持ちもあって、執筆・投稿していました。

 前作『緋蒼村』は、これまで私が書いた作品の中では最高傑作の一つですから! 特に推理小説に限っていえば、間違いなくベストですから!


 しかし。

 特に『邪神城』を投稿したからといって『緋蒼村』の宣伝になった、という手応えはありませんでした。

 前回、一ヶ月間の★やPVの増加分を示しましたが、それによると『緋蒼村』は、10月29日から11月29日の増加が「★3 PV209」、11月29日から12月29日の増加が「★5 PV172」、12月29日から1月29日の増加が「★0 PV74」。

 数字で見ても、『邪神城』の投稿中(12月30日から1月29日)に★もPVも大きく増えてはいない、というのが明らかでしょう。


 さて。

 ここで対比のために、少し「小説家になろう」の話をします。

 今回の『邪神城』、せっかく書いたので「小説家になろう」の方にも投稿しています。ただし現在では私の活動のメインはカクヨムですから、カクヨム初出にすることに個人的なこだわりがあり、あちらではカクヨムより四日遅れの投稿にしました。

 あちらでも、『邪神城』を投稿することで『緋蒼村』の宣伝になるのではないか、という期待があったのですが……。

 はい、「小説家になろう」の方では、それっぽい手応えがありました!

 あちらのアクセス解析は、それぞれの作品について1時間ごとのPVが表示されるのですが、


https://kasasagi.hinaproject.com/access/top/ncode/n5449fd/


 それとは別に、「部分別」というところをクリックすると、各話のアクセスを見ることが出来ます。

 例えば『緋蒼村』は全30話なので、第5話までしかアクセスがなければ「ああ、そこで読むのをやめてしまったのか」と思いますし、30話の全てにアクセスがあれば「誰かが最後まで読んでくれたっぽい」と思えます。

 私は人気作家ではないので、『緋蒼村』のように完結して一年以上経過した作品は、むしろ全話ともアクセス0の日が多くなります。ところが1月3日に『邪神城』の投稿を始めてからは、『緋蒼村』全30話にアクセスのある日が、10回もありました!


https://kasasagi.hinaproject.com/access/chapter/ncode/n5449fd/?date=2020-01-03


https://kasasagi.hinaproject.com/access/chapter/ncode/n5449fd/?date=2020-01-04


https://kasasagi.hinaproject.com/access/chapter/ncode/n5449fd/?date=2020-01-05


https://kasasagi.hinaproject.com/access/chapter/ncode/n5449fd/?date=2020-01-11


https://kasasagi.hinaproject.com/access/chapter/ncode/n5449fd/?date=2020-01-17


https://kasasagi.hinaproject.com/access/chapter/ncode/n5449fd/?date=2020-01-18


https://kasasagi.hinaproject.com/access/chapter/ncode/n5449fd/?date=2020-01-20


https://kasasagi.hinaproject.com/access/chapter/ncode/n5449fd/?date=2020-01-24


https://kasasagi.hinaproject.com/access/chapter/ncode/n5449fd/?date=2020-01-29


https://kasasagi.hinaproject.com/access/chapter/ncode/n5449fd/?date=2020-01-30


 最初は「宣伝効果があった!」と純粋に喜びました。

 しかし、逆に考えてみると。

 こういう推理小説に興味があって、あるいは特に興味なかったとしても、『緋蒼村』を読み始めたら最後まで読んでくださる方々。そうした方々が、今までこの作品を読むことなく――おそらく存在すら知らずに――、眠っていたことになります。

 これって、潜在的な読者をのがしてきた、と言えるのではないでしょうか。これこそ「作品が埋もれる」ということなのでしょう!

 その意味では。

 続編投稿による、前作宣伝の効果がなかった――少なくとも顕著ではなかった――カクヨム。こちらは「読んでくれそうな方々は、すでに読んでくださった後」ということになりそうです。作品が埋もれることはなかった、と言えるでしょう。

 理由を分析するならば、自主企画やら何やら、すでにこのエッセイで何度も考えてきた通りなのでしょうが……。

 ともかく。

 あらためて、カクヨムは作品が埋もれにくいシステムなのだ、と実感したのでした。

   

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