アザレア ズ ゼロ
ゆうきち
第1輪 アザレア
昔話をしよう
———「よし、今日はここまでだ」
分厚い本を閉じ自室の机の上で疲れ切った様に背を伸ばした、目を動かし壁にかけている時計を見ると深夜の2時だ。最近は寝ることも惜しむほど作業に没頭している。
作業と言うのは魔法陣の制作だ。
この世界には魔法、魔術、呪術、錬金術と言うのが存在する。と言ってもそれは架空のものと思われてきた節はあるのが世間の一般常識だ、魔法だ魔術だと知らない人に話せば頭が可哀想な人認定される程度には信じられていないものだ、
だが、この当時14歳の中学一年生の俺'吉永 楓'は幼馴染の櫻と魔道書を拾った。
土で汚れきった本は所々破れがあり、かなり古いものだった。
—そんなもの捨てなさいよ—
—でもなんか、わかんねーけど惹かれるもんがあるんだよなぁ—
幼馴染とこんな会話をしたのを覚えてる
中学生の俺は多分他の人とは少しズレて居たのだと今は思う。
だってそうだろう?普通はそんなもの無視して捨てるに決まっている。せいぜい目を通して、捨てる。そんな所だろ。
そして俺は拾い、'心を奪われた' 文字通り、異常な程の興味を抱いたんだ、何語かもわからない拙い字、インクか血かわからないようなシミ、そんなものはガン無視決め込んだ。
それでもなぜか一行、いや、一文字だけ読める文字があった、正確に言えばその文字は読めてはいない、が'理解は出来た'シックスセンス的ななにかによるものかなのか、それはわからない。
だが確実に分かった、その文字はアザレア
その文字と共に魔法陣が描かれていた
赤で描かれ、中心には花を象った様な紋章
なにを示すのかはわからなかったが、それは俺の興奮をさらに加速させるには充分だった。その日から毎日寝る間も惜しんで魔道書を読み続けた、中学生は多少夜通しをしても勉学になんら支障を与えない。
「最近の楓なんか変だよ?、学校終わったらすぐ帰っちゃうしさぁ?私が追ってもすぐ消えちゃうんだから」
幼馴染の'大咲 櫻'が俺を覗き込んで心配そうに声をかけてきた、彼女は学年でもトップレベルの美しさを誇る、学校では極力目立たない様ポニーテールにし伊達メガネをかけているそれでも隠しきれない美しさは逆に良いと男子からは好評だ、165センチの女子にしては高身長、明らかにお姉さん系だ。ちなみに胸は慎ましい。スレンダーと言えばスレンダーなのだ。
「へぇ、俺を一応追いかけてはくれるんだな」
「そーゆーのじゃありません!」
「ははっ、まるでツンデレのテンプレだな、略してツンプレ!」
「はい、はい、しょうもないこと言えるうちは大丈夫そうね」
「まっ、心配しないでくれよ、櫻もなにやってるか大体わかってんだろ?」
こう見えて櫻は鋭いところが多々見える。
こいつの将来の彼氏や夫は隠し事に苦労するんだろうなぁ、と遠い目で櫻をみる
「目的は知らないけどうっすらとは、、
それより、あんた今失礼なこと考えてるでしょ?」
鋭すぎだろ、いつからお前はエスパーになったんだ。下手に考え事もできないのか
「いや、櫻の将来の男について考えてた」
すると櫻の顔が急激に赤くなり目を見開いた。
「な、な、なに言ってるのよ!そんな!私は!」
「モゴモゴ言ってねーで、気をつけて帰れよ、じゃーなー」
今日も本の熟読をする為に早く家路につきたい楓は足早にその場を去ろうとする。
「待ってよ!」
「なんだよ?」
「たまにはゆっくり一緒に帰ろうよ」
「えー。今日もやりたいことあるんだけどな」
「あんた友達いなくなるわよ」
余計なお世話だ。とは言っても今日び友人と接点を持たない奴はハブられるのは当然だ。
人付き合いは得意な方だとは思っている、ここは大人の態度で接する。
「別に構わない、友達より大事なことだ。」
はずもない。人付き合いの得意不得意に関わらず好きな事を優先するのも当然の事だ。
なにより楓は櫻には嫌われない自信があった。
「あー、はいはい、わかったわよ、じゃあまた明日ね?」
「おう、わりーな」
そう言って早足で校外へと足を向け、早足で歩きもう少しで家に着く所で、
「んっ」「あっ」
人とぶつかった、やはり考え事をしてると周りが見えなくなるのは悪い癖だ、以前にも櫻に言われてきた事だったのに、反省が活かされていない。
「えっと、すいません?」
「、、、、」
何も答えてくれない。なんだ、なんなんだこの空気。いや、俺が悪いんだけどさ。
身長は150センチ程と女の子でしては標準で見たもの全てを釘付けにさせる麗しの白髪、そして可愛らしい顔立ちと豊かな胸、悪魔を連想させる黒の基調としたかなり際どい服装をしている、これでもかと弾けそうな胸とスラリとした太ももを強調している、なんか、これはよく見るコスプレと言うやつなのか、
「チッ、遅かったのね、これは時間なさそうだわ。もう殺るしか、、」
なにかヤバいことを呟き始めた、これはもう何感かわからないが、とにかく俺の本能が告げている。ヤバくてマズイ状況だ。
なにより《魔力》が見えている。
よく漫画やアニメでみるそれだ、モヤモヤと言うかふわふわと言うか、そこに存在しているのに不確かな物質だ。
なぜそれを魔力だと感じ取れたのかは最近のめり込んでいる本と関係しているのは確かだろう。すると
「?!うわぁ、なにするんだ?!?!」
「..............」
そこら辺に落ちていた石を投げてきた。
ただ石を投げる、と言ったら語弊がある、小学生がガラスを割る程度の事ではない避けれた事が奇跡と言っても過言ではない速度だ。
多分家が一軒ぶっ飛んでもおかしくない早さだ、実際に後ろにあった電柱が根元からへし折れているのだから。
夜の割に今は明るいからギリギリの所で避けた。
「はぁ、はぁ、はぁ、これってあれか、あの本に関係しているって思ってもいいのか?」
「わかっているのなら早急に返しくれてもいいのよ?」
「返す?あれは君の物なのか?」
「えぇ、そうよ、だから早く返して!じゃないと、じゃないと、、、」
「よくわからないけど、下ろして!その手に持っている殺人兵器を下ろしてくれ!返す前に死ぬから!」
とても可愛らしい顔で今にも泣き出しそうにソフトボールサイズの石を掴んでいる。
やべぇ、めっちゃ可愛い、と思う自分がいるが今は命の危機に晒されているのだ、それどころではない、会話が通じない相手でもなさそうだ。人類が何年もかけて進化させたコミニュケーションを今こそフルに活用させねば。
「君は本を取り返しにきたってことだな!それで何かしらで俺が本の持ち主だとわかった!そして俺がその本でよからぬ事をしているとおもってる!違うか!」
「まぁ、大方は違いないわ、早く返して、すぐ返して、ここで返して」
相当焦っているのか、早急な返却を望んでいる。命に比べたら安いものだ。
「すぐ取りに帰るから待っててくれ!だから早く手を下ろせ!」
すぐ隣にある死にこちらも焦り普段の口調が戻りつつある
「馬鹿じゃないの?!そんなの無理に決まってるでしょう??油断させて殺す気になのよ!」
(何を口走っているんだこの女は、俺のセリフだろうが。どうする、走って逃げるか、この様子じゃすぐ追いつかれてお陀仏だ、話し合いもどうも進みそうにない、くそっ、なんでこんな面倒ごとに巻き込まれないといけねーんだよ)
「「ッ!!!!」」
またもや凄まじい音が響いた、どうやら第三者の介入の様だ、もう何が何だかわからない状況ではある、だが途方に暮れている場合ではない、二度とチャンスは訪れないと思い家に向かい全力疾走をする。
「ぐっ、ちくしょう。少し腕切ったじゃねーかよ。」
「待ちなさい!!!!」
「待てと言われて待つのは犬だけだ!!」
振り向かず傷が痛む身体で今までで出したことのないであろう速度で家の近所を駆け巡る
家に着きドアを蹴破らんばかりの勢いで自室の机の上にある魔道書を手に取る。
「とにかくこれを持ってあいつから逃げないとな」
「誰からどこに逃げるつもり??」
「は、あ、、、?」
窓からこちらを視線で射殺ささんばかりに睨みつけているさっきの女が居た、驚くべきなのはおれの部屋にはベランダなんて無いのだ、つまり空を飛んでいる。
「なんなんだよ。なんなんだ!おまえ!!」
「白々しい!この期に及んでまだ嘘をつき続けるの?!」
「話がわっかんねぇなぁ!!いい加減ぶっ飛ばすぞ??!!」
キレた、意味不明な発言、理解不能な状況が楓の怒りのキャパシティを大幅にオーバーした
「貴方のその力!アザレアの発する魔力に他ならないのよ!!」
「え、は?」
「アザレアって言ったのよ!」
魔法陣が書いていたので何かしら魔法に関することは確かだとは思っていたが力を振るう系の魔法だとは思ってもいなかった。
「そのアザレアってのはなんなんだ?」
「はぁ?その白々しい態度がムカつくって言ってるの!」
こちらはまさかの事実に冷静になれたが相手側が激昂していては会話にならない
(しかし、その力が使えればこの場を切り抜けれるんじゃないか??)
発想の転換、更に魔力の転換を試みる。
「うん、全然わかんねぇわ。」
毛すら生えていない素人にわかるはずもなかった、魔法のなんたるかを多少なり知っていれば話は変わったのかもしれないが数日前まではただの中学生だ
「何言ってんのよ!早く返してってば!」
(ピンときた!魔法陣を完成させれば何かできるんじゃないか?そっからは一か八かだ)
「覚悟決めた顔してるんじゃないの、ようやく観念したのね」
「あぁ、決まったぞ」
シュバ!!!!!!
走ってその場からの戦略的撤退。
その上なくダサい姿であった。
「逃げんな!!!」
後ろから今にも殺してきそうな怒声が響いた
「はぁ、はぁ、はぁ、」
息を切らしながらこの地で一番広い公園にきた。
(今日まで書いてきた魔法陣を今こそ完成させなくては、俺が俺を守るために。)
ペンがないので先ほど腕を切った際に出た血で魔法陣を描く。
「これで、、、、」
完成だ。と言いかけた瞬間
「もう逃がさない。」
双剣らしきものをもった先ほどの女が追いついた
「それが本物の武器って事かよ」
「多くは話さない、それともう許さない。ここで消えて貰うわ」
もう自分の命は長くないことを悟り、完成した魔法陣に自分の全てをぶつける感覚で魔力を込める。
「いけ!アザレア!!!!」
「?!!!?!!」
腕の中にある紙に書かれた魔法陣が薄暗い闇の中光輝く————
あとがき
初めて小説を書いてみました、
小説との出会いは少年院でした。
毎日が憂鬱な状態でその時出会った小説が物語シリーズでした、以前からアニメの方では見ていましたが、小説で読むとアニメと違う面白さを多々発見できました。
それからラノベを買い漁って読みました。
周りからは気持ち悪い、と言われることもありますが、自分のしたいことはする!と言う意思は変えずにこれから頑張っていきますので、どうか応援お願いします!!
アザレア ズ ゼロ ゆうきち @Yuuki120530
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