後書き

24の月を見上げて



 まだ企画は終了していませんが、企画終了後に書いてもあんまり読まれないと思うので、今このタイミングで総括を書きます。

 2年間お疲れ様でした。


 そもそもSRというのは、同題異話という、みんなから愛された人気企画があり、それが終わろうという時、「このまま終わらせてしまうのは寂しい」と思ったことが始まりでした。

 幸い、同題異話の主催者の方とは知り合いでしたので、引き継げないか連絡を取りました。正式に引き継ぐという話にはなりませんでしたが、「誰が同題異話を開催してもかまわない」との回答をいただけましたので、「同題異話という企画を途切れさせたくない」という思いで、「同題異話SR」は企画されました。もう2年前のことです。SRの前に同題異話が1年間開催されていたことを知らない方もいらっしゃるでしょう。なぜ企画名に“SR”と付いているかというと、もともとの同題異話とは別な企画ですよと示すためです。

 3年前に始まった同題異話がなければ、SRはありませんでした。深く感謝したいと思います。


 数字が物語っているのですが、SRはもともとの同題異話ほどの人気は得られぬままでした。最後まで至らぬ主催者で、相変わらずのSRでしたが、それでもSRがSRなりに続けてきた2年間は、代えがたい価値があるものだったと信じています。

 しかしまあ、2年も続けるとは思っていませんでした。よく2期もやるなんて決断できたものですね。何の自信も根拠も持てない決断でした。ただ、SRを楽しんでくれるみなさんがいる、続けられた理由はその一点に尽きます。

 今だから言いますが、ずっと体調に不安要素を抱えながらの主催でした。主催者として、ままならないことの方が多かった日々でした。今も正直、悔しい思いはたくさんあります。それでもみなさんがいてくれたから、大切なものとしてSRの2年間はあります。


 手元の集計なんですが、第2期の2月終了の時点で、参加作品数は751作になりました(※各月の企画終了時点の合計)。どう捉えていいものか、何やらよくわからないのですが、2年もやるとこんなになるんですね。751はみなさんの情熱の数字です。ありがとうございます。残された3月もよろしくお願いします。


 エンディングを迎えるにあたって思うことは、SRとは居場所だったな、ということです。

 うまく言えないのですが、SRというスペースにみなさんが作品を持ち寄る、そんなイメージです。

 僕は主催者としてのれんを下げるだけで、料理の仕込みもろくにせず、それでもSRはいつもSRになってくれました。やっぱりうまく言えませんね。


 長い2年でした。それと同時に、終わってみれば一瞬のような2年でした。

 綱渡りのように主催した日もありました。2年も途切れなく主催できたことはひとつの誇りであり、何事もままならない自分からすれば、ちょっとした奇跡のようにも思えます。

 ほとんど毎日欠かさず、企画ページを確認していました。そんな習慣も終わるのかと思うと、やっぱりちょっと寂しいですね。

 個人的な話になりますが、綱渡りの日々の中でも企画を主催できたのは、いつも隣で支えてくれた妻のおかげです。ちゃんと感謝を伝えておきます。


 時には無茶振りのハードモードもありましたが、24のタイトルに応えてくださったみなさんへの感謝の念は尽きません。書いてくださった人、読んでくださった人に、改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。


 長くやってきたものですから、書こうと思えば書けることはたくさんあります。24のタイトルについてそれぞれ振り返ってもいいんですが、それだときりがないですね。名残惜しいですが、終わりを終わりとして受け入れなくてはなりません。

 24の月虹はいかがだったでしょうか。ちゃんとそれぞれ仄かな燦めきを放っていたでしょうか。僕の思いは届いたでしょうか。SRの航海で、どんな景色が見えましたか。今、帆を畳む時がやってきました。みなさんが成り立たせてくれた企画の主催者でいられたことは、とびきりの幸せでした。

 何も約束はできないことは承知でいるのですが、まださよならは言いません。綱渡りの日々を生きて、そしてまたみなさんと再会できる日を楽しみにしています。


 SRは僕のものではありません。みなさんのものです。僕ひとりでは何も成り立ちません。

 最後の最後まで、それは変わりありません。どうぞ楽しんでください。本当のエンディングはこの後書きではありません。みなさんが見る景色がSRのエンドマークです。それではこのへんで。夢を見せてくださって、本当にありがとうございました。




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きみの物語になりたい――同題異話SR主催ライナーノーツ ~十二の月虹~ 香鳴裕人 @ayam4

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