ネバーエンディングばか

新巻へもん

汝に力を与えよう

 いくつもの山を越え、森を抜け、ようやくその湖にたどり着いた。ここが現世なのか、あの世なのか、今なのか過去なのかも分からない。


 男は力を欲していた。聞きつけた噂をもとにここまでようやくたどり着いた。その湖で祈りを捧げると伝説の剣が手に入る。過去に幾度となく世に現れて、その度に大きな力を発揮した黒い刀身の大剣。マインドブレイカー。いつの間にか歴史の闇に消える永遠の武器。


 マインドブレイカーは、手にしたものに、岩をも砕く力と、何者にも勝る超絶な剣技、森の獣よりも速い俊敏性、ゴーレムを凌駕する耐久力を与えてくれる。


 男は薄もやの漂う湖畔のぬかるみに膝が汚れることも厭わず一心に祈りを捧げた。ワレニチカラヲアタエタマヘ。


 どれほどのときが経っただろうか。男が顔をあげると少し先の水面から青白い手が突き出ていた。その手にはこの世の闇を凝縮したような佇まいをみせる幅広の剣が握られている。


 男は夢中で湖に駆け込むと膝上まで水に浸かりながら、その剣に近づく。男がその剣を手に取ると青白い手は掻き消える。男の体に凄まじい力が流れ込んできた。男の頭に思念が流れ込んでくる。

 ナンジニチカラヲアタエヨウ。


 その途端、男はすべてを忘れていた。目から光が失われ、顔は弛緩し、口からよだれが垂れる。マインドブレイカーを振り回し、ニカニカと笑いながら、叫び声をあげた。

「ヒャッハー!!」


 ***


 マインドブレイカー(両手持ちの大剣。装備者は以下の補正を受ける)

 筋力 +255

 技量 +255

 敏捷 +255

 耐久 +255

 知性 -65025

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