②21歳ニート ニートを選んだ理由
2回しかやってこない短大の夏休みは大変貴重な期間だが、その貴重な1年目の夏休み。私はほぼ腰の治療に費やす羽目になった。あまりの痛みにまともに歩くことができず、自宅では赤ちゃんのようにハイハイで移動する。もちろん家の手伝いすらろくにできなかった。
非常に味気ない夏休みだった。
短大で作った友達と海に出かけることも、夏祭りに行くことも、夏らしい遊びを何も経験することなく。
せっかくバイトで貯めた少ない給料は、腰の治療で全て消えた。
バイトを経験して得たものは腰痛で、失ったものは夏休みと就職意欲。
最後にバイト先から給料を貰いに行った日、差っ引かれた給料を渡されながら店長から言われた言葉がずっとショックだった。
「ここが続かないようでは、どこへ行っても同じだ」
たまたまバイト先が自分に合わなかっただけ、という考えに至るほど私は広い視野で物事を見渡せず、自分より長く生きている大人からの説教を素直に受け止めてしまった。
就職したくないから進学を選んだ私は間違っていなかった。自分の思った通り、やはり労働が向いてない駄目な奴なのだと自分を決めつけられる言葉であった。
翌年の短大2年の夏休みは形だけの就活をしていた。親には就職意欲がある姿を見せて安心させたかったし、運が良ければ自分に合う会社があれば…と漠然と考えていた。
しかし働くことは身体を壊し、メンタルを削ぎ落とすことだと意識的に刷り込まれた一度の経験は大きすぎて、そもそも自分がやりたい仕事が何なのか分からなくなっていた。
短大生活は過去の学生生活を全て押しのける勢いで楽しい時間だった。しかし就職先は結局決まることなく卒業した。
一応卒業して間もなく仕事は見つけたのだが立ち仕事を選んでしまい、腰痛に苦しんだため3日で辞めた。
ニート生活はここから始まった。
私が精神科に三度通院した話 未琳 @shine7
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