第3話「罰。」

翌日の朝、夢にまどろむ俺の頭に声が聞こえた。


「おーい、恭二?起きてよー。」


「、、ん?」


目をこすりながらベッドから起き上がるとナターリエがそこにいた。


「おはよう、恭二。」


少し笑いかけるようにナターリエは挨拶をする。


「ああ、おはよう、ナターリエ。どうしたんだよ?俺を起こすなんて珍しいじゃないか?」


普段は俺の方が早く起きることが多く、俺の部屋に彼女が朝来ることは滅多になかった。


「うん、それがね?」





「小暮さんが見当たらない?」


「うん、今日はたまたま早く目が覚めて、小暮さんに朝食をお願いしようと思って彼女の部屋に行ったけど、返事が無かったの。」


「それで?」


「部屋が空いてたから入ったんだけどいなくて、屋敷のいそうなところを探したんだけど見つからないの。」


ナターリエは俯き加減でそう言った。


「買い物に、、って早すぎるよな、、。」


現在は午前7時。使用人が頼みもないのにこの時間に買い物に行くことは考えにくいし、第一小暮さんは断りなく出掛けるような人ではなかった。


「ちょっと心配だな、、。俺も探すよ。」


そう言って立ち上がり着替えて部屋の外に出た。


広い屋敷の中を俺とナターリエ、ナターリエの父上の三人で探すことに。


ナターリエの父上は何故かあまり積極的には動こうとはしてくれず、実質俺とナターリエだけで探したものだからかなり時間がかかっていたが、それでも小暮さんの姿はどこにもなかった。


「一体どこに、、、、。」


「昨日恭二君は、小暮君と話していなかったか?その時何か言ってなかったのかね?」


ナターリエの父上はそう言った。


「変わったことは特になかったように思いますが、、。あっ」


「どうかしたの?恭二?」


「そういえば捧血式部屋の掃除をお願いしたんだった。ほら次の。」


「捧血式部屋?探してないのかね?」


「ええ、鍵は小暮さんに預けていましたし、まさかと思って忘れていました。行ってみます。」


俺はナターリエと一緒に、小走りで地下にある捧血式部屋へ向かった。





ドアの前に到着し、ドアノブに手をかける恭二。


「開いてる。」


つまり、鍵を預かっていた小暮はここに入ったということだ。


恭二はナターリエの顔を見た。


「・・・・」


ナターリエの顔は今まで見たことも無いような恐怖の表情をしていた。


「どう、した、、?」


「なんか、体が急に寒くなって、、なんだろ、、?おかしいよ。体の中で何かが動いてるみたい、、。」


なにやらナターリエの体に変化が起きたらしいが恭二は、彼女が恐怖を錯覚したのだろうと考えた。


視線をドアへ戻し、ドアをゆっくり開けた。




















そこで見たものは、血の海だった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

エーデルシュタインの罰 藍谷紬 @stanty

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る