寂しい僕らの生きる方法

@yukimoya

第1話

その日は雨だった。

薄暗い空はどこか僕の心を写しているようで気持ちが悪かった。

先日、国王様からのお達しで、『ワルツ』を引き連れ遠征へ迎えと。

とてもわかりやすい厄介払いをされた。

もとより僕は望まれない身。王家に子供は三人も必要なかったのだ。

ワルツ。

人はそれを忌み嫌う。その正体は分からず、人殺しを生業とするからか、なぜかはわからない。

とりあえず僕に害なさなければいい。

そんなことを考えている合間に僕はワルツと書かれたプレートのドアの前まで来ていた。

さて、仕方がない。これから2年よ遠征帰還殺されないように、せいぜい仲良くしてやろう。

ガチャリと、扉を開く。部屋は電気が付いていないのか薄暗く、誰の声もしない。

ふわりと香る珈琲の匂い。

それに誘われ部屋の先へ進む。すると人影が5つ。

「あの、ワルツの皆さんってどこにいますかね。」

ソファーに仲良く座っている5つの影は部屋の暗さからかまだ顔を見せない。

ズズッと珈琲を飲む音が響く。

「貴方がノイス・J・アルファート様ですか。」

凛とした声で喋ったのは明らかにまだ幼い女の子の声だった。

「信乃ランプをつけて。」

「はい。」

また女…凶悪なワルツの部屋に女がいていいものなのだろうか。とふと疑問に上がる。

するとパッと周りが明るくなる、視界がひらけてまず絶句する。

美少女では事足りないほど美しい女性と小さな子供、それに、もう1人女性と、僕とおんなじくらいの男性が2人座っていたからである。

「全員起立!」

ザッ!っと小さな女の子が声をかけると息を揃えて立ち上がる。

「申し訳ありません、ただ今お茶の時間でしたので、お出迎えもせず。お許しください。

「あ、あぁ、別にいいよ。それより、君たちここにいたら危ないよ、ここはワルツの部屋だよ?ワルツの人達は何処かな?」

「ふふっ、おかしなことをおっしゃる。我等こそワルツ。貴方様方の手の上で優雅に踊って見せましょう。」

僕は、2度目の絶句を禁じ得なかった。

ワルツとはもっと屈強な男達を想像していたからである。

「私はワルツのリーダー菊と申します。」

ぺこりと頭を下げるその少女はどこからどうみてもまだ十代、どう考えても殺人兵器とは結びつかない。

「私は信乃と申します。」

続いて頭を下げたのはとても美しい女性だった。やはり彼女もとてもとても人を殺すようには感じられなかった。

「私はソフィです」

ぺこりと少し不服げに頭を下げられた。

「私はケイと申します。」

「僕はルイです。」

続けざまに雰囲気の似ている2人が挨拶をする。

「以上5名、貴方様に忠義を尽くし、命果てようとも任務を遂行することを誓います。」

僕はもしかしなくても、とんでもないことを引き受けたのかもしれない。

「ノイス様の御心のなすままに、我等をどうか、お使いください。」

にっこりと笑う少女は確実に僕を見ていた。

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