第2章 安岡寺おめめ作品が一部のファンたちに激ウケするのはなぜか 後編


前話ではおめめ作品の特徴である『圧倒的な読みやすさ』と『その背景にあるもの』について考察した。


今回はおめめ作品が持つ『面白さの本質』について考察していく。



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<< 続き >>



おめめ作品、特に彼女の代表作である『魔界放送協会(MHK)〜』は、私にとって凄く面白く思える。


一方でこの作品は世間的に評価されているとは言えない。


これは一体なぜだろうか?



まずあらかじめ断っておくと、私は安岡寺おめめ氏が追求している『バイオレンス・コメディ』というジャンルが決して好きなわけではない。



◆◇◇◇◇◇◇



おめめ作品においては「唐突で理不尽な暴力描写」がたまに挿入されるが、それを不愉快に感じる読者多いだろう。


例えば『魔界放送協会(MHK)〜』の第3話では先輩MHK職員であるダークエルフのベロニカが、受信料の徴収と称して一般人ヤクザに理不尽な暴力を振るうシーンなどが挙げられる。


以下そのシーンの抜粋。



■第03話


―――――――― 以下抜粋 ――――――――――


「ハハッ、おっさん笑かしよんなー。テレビない家なんてあるかいや。ええから受信料払えや」


「おいおいちょっと待てって。受信料ってなんだ? なんで俺がおめえに金払わなきゃいけねえんだ?」


「テレビが家にあるからや」


「誤解だ。うちにはテレビなんてもんはねえ。これは本当だ。嘘だと思うならうちのカミさんに聞いてくれ。なんなら家に上がって確かめてくれてもいい」


 尋常でないものを感じたのか、鬼気迫る先輩の様子に、ヤクザはすっかり最初の勢いをなくしていた。関わりあいになってはいけないものに関わってしまったって感じだろう。すごく気持ちわかる。


 だが、おっさんが必死の弁解を口にした次の瞬間、ベロニカ先輩の姿は視界から消えていた。


「えっ!?」


 俺が驚いて声を出した刹那、ベロニカ先輩の腹パンがおっさんの鳩尾にクリーンヒットして、おっさんは膝をついてその場にうずくまっていた。


「おげええェェッ!!!」


 大の大人が口にするとは思えないような情けない悲鳴をあげるヤクザ。それを冷徹な視線で見下ろす先輩が告げる。


「家に上がったら住居不法侵入でつかまるやろ。じぶんそこまで計算してうちを罠にはめようとしとったんか……」


「そ、そんなつもりは、……うげェッ!!」


 おっさんの言い訳は、ベロニカ先輩の拳で打ち切られた。銀色のツインテールをワイパーのように揺らしながら、先輩のデンプシーロールがおっさんの顔面を容赦なく襲う。


 しばらく後、おっさんが意識を失って動けなくなった後、先輩は言った。


「っち、チンピラ風情が手間かけさせよってからに……」


 ここから先は、ご存知の通りである。


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◇◆◇◇◇◇◇



上記のシーンをどう捉えるかは読者によって大きく異なるところだろう。


このシーンを表面的に解釈するだけであれば、私も正直「不愉快」という感想しかない。さすがに一般人ヤクザがかわいそうである


だがこれを『』と捉えれば話はガラッと変わる。



◇◇◆◇◇◇◇



<< バイオレンス・コメディに見る風刺性 >>



上記のシーンを風刺として解釈すると、


『現実社会における某放送協会が国民に対して強制的に受信契約を結ばせ、支払い義務を課していることに対して「見ていないのに支払うのはおかしい」と訴え出た者の意見を、最高裁判所が問答無用で却下していることの酷さ』


を異世界を舞台としたストーリーの中で、ベロニカの暴力を通し風刺として表現しているのではないだろうか。


そう解釈するとこのシーンの捉え方はガラッと変わり、とても示唆しさに富んだおもむき深いものとなる。これは『知的な面白さを引き起こす』こと間違いない。



◇◇◇◆◇◇◇



またこれ以外にも『魔界放送協会(MHK)〜』に含まれている風刺表現をいくつか挙げてみる。



■第10話


―――――――― 以下抜粋 ――――――――――


「ケンゾーさん、これ見てください、大豆って書いてますよ!」


「ああ、……しかし、油やとうもろこしはともかく、金銀とかゴムを扱っているなんて、変わった商店だな」


 疑問に思わないでもなかったが、異世界だからそんなものなのかと、深くは気にせず、店に入る。


「ごめんくださーい」


 リリムが呼びかけると、はいはーいと愛想の良い返事とともに、商店の店員にしては、やけに身なりの良い男が出てきた。


「いらっしゃいませお客様、本日はどのようなご用件で?」


 慇懃無礼な程腰の低い男だ。


「あの、大豆を買いたいんですが」


「大豆ですか。いかほどご入用で?」


「できるだけたくさん買いたいんです!」


 リリムが手持ちの布袋をカウンター上に出す。


 店員は袋を受け取ると、その中に入っていた金貨を確認する。


「20万ルビーですね」


「はい」


「では、これを証拠金と手数料としてお預かりします。大豆についてはすぐに手配しますので、しばらくお待ちください」


「お願いします!」


 店員は裏に引っ込んで、しばらくして戻ってきた。


「ただいま大豆を100トン手配してまいりました」


 事もなげに言う。


「ひゃ、ひゃっ……、ひゃくとん!!?」


「はい、証拠金20万ルビーに50倍のレバレッジを効かせて、1000万ルビー。大豆1トンの今の価格は10万ルビーなので、100トン買いました」


「あばばばばば……」


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上記シーンでは先物取引の危険性を風刺している。


普通に考えれば「先物取引の取引所がある異世界なんか見たことない」ことからも、このエピソードがあえて意図的に挿入されていることは明らかだろう。


そう考えれば、この表現はあくまでも安岡寺あんこうじおめめが安易にハイリスク取引にはまる者の愚かさや、FXや仮想通貨取引が現代社会を生きる人々の身近に存在し、その入り口があまり規制されていないことを揶揄するために、あえて挿入した場面であることが分かるだろう。


なおこのシーンで直接的な暴力表現は描かれていないが、この直後のシーンでリリムは取引損を出し、主人公のケンゾーと一緒にタコ部屋(労働施設)に送られてしまうことなどから、ある意味『この様なリスクのある取引が悲惨な暴力の入り口』になることを示唆しているのではないだろうか。



■第32話


次のシーンでは『黒幕とされる存在』からもたらされる陰湿で厄介な暴力を風刺している。


―――――――― 以下抜粋 ――――――――――


「そうか……では証拠を見せようかの……」


 証拠?


 グレモリーはイルミナートじゃないわけだが、いったいどんな証拠を見せるっていうんだ? 戸籍でも偽造したんだろうか?


 俺がそんなふうに予想していると、突然応接室のドアが開き、さっきのメイドが扉の陰から、上半身だけを覗かせる。


「あ……ああ……アンリエッタ……様……」


 だが、どうも様子がおかしい。なにかに怯えたような顔をしている。


「リアンナ? どうかしたのですか? 今はお客様とお話をしているのです。下がりなさい」


 だが、主人の命令にも、メイドは動かなかった。


「アンリエッタ様……申し訳ありません……」


 次の瞬間、メイドが、すうーっと、滑るように部屋に入ってきた。あまりにも平行なその動き。


「ぎゃあああああーーーーーーっ!!」


 絶叫が響く。アンリエッタのものだ。


 部屋に入ってきたメイドには、下半身がなかった。ただ、腰から上だけが食事を運ぶ、コロ付きのキャスターに乗せられており、そのキャスターを誰かが後ろから押したのだ。


 メイドの乗ったキャスターは、そのまま部屋の壁にぶつかると、ドシャリと音を立てて、メイドが転がり落ちた。


 アンリエッタがメイドに駆け寄る。


「リアンナ……、リアンナ! しっかりして、リアンナ! ……ああ、誰がこんな酷いことを……」


 その様子を暗黒微笑で見ていたグレモリーが口を開く。


「おやおや、貴族様の屋敷じゃというのに、物騒極まりないのぅ……。国の上に立つものが、そのように不用心なことでどうする……?」


 振り返ったアンリエッタが、グレモリーを睨みつける。


「あ、あなたがやったんですか!?」


「おいおい、言いがかりをつける気かぇ? 妾はここでお前とずっと話をしておったろうがぇ。いつこんなことをする暇があった? 言うてみい」


「くっ……」


 アンリエッタが黙る。


「それよりも、どれ、妾に見せてみよ」


 グレモリーが回復魔法を唱えると、メイドの顔色がみるみる良くなり、下半身が生えてきた。


――――――――――――――――――――――――


このシーンでは圧倒的な暴力表現を使うことで『黒幕』という存在の厄介さを表現している。


『黒幕』はこの様にあからさまな暴力を行使するが、あくまで自身が直接手を汚すことなく、またあたかも他人が行ったことの様に振る舞うのだ。


もしこのシーンを表面的にだけ捉えるのであれば、悲惨さしか感じない描写である。しかしこれも風刺と捉えることで、示唆に富んだものとなるから不思議だ。


裏社会に精通し、特に京阪神地域の警察行政に強い関心を寄せる安岡寺おめめだからこそ、描ける表現と言えるだろう。


なお、このシーンでメイドキャラが助かったのは『単に女性だから』という理由に過ぎないと考えられる。なぜなら、おめめ作品において女性キャラは優遇される存在だからである。


これがもし男性キャラであれば即死していたこと間違いないだろう。というか描写すら省略された状態でおそらく多数死亡している。以下はその描写である。


―――――――― 以下抜粋 ――――――――――

「そんな……、警備兵は、警備兵はどうしたのです!?」


 狼狽するアンリエッタの顔色は真っ青だ。


「全滅です……」

――――――――――――――――――――――――


まさにひどい扱いである。




■第23話


また以下のシーンではこれまでに幾度も使い古された、焼き土下座パロディをあえて用いることで、女性社会(主人公以外のMHK職員は全員女性)における男性の立場の弱さと悲惨さを表現している。


―――――――― 以下抜粋 ――――――――――


 先輩は、会議室から車輪のついた巨大な鉄板を持って来た。


「あの、先輩……? それは?」


「カチューシャ、火で炙ってくれ」


「わかった……」


 カチューシャ先輩が魔法の炎で下から鉄板を炙る。


「本当に申し訳ないという気持ちがあるんやったら、どこででも土下座できるはずや。たとえそれが肉焼き骨焦がす鉄板のうえであってもな……」


「無理です、死んでしまいます……」


「でも、それくらいせんとうちの気がすまへん。せやな、ルーチェ?」


「わたくしも全く同意ですわ。さすがに焼き土下座までかましていただけたら、あなたを許して差し上げてよ、ケンゾー」


 そうこうしている間にも、鉄板はどんどん熱されていく。


 この人たちは本気だ。こうなったら絶対に退くような人たちではない。どんなことがあっても俺に焼き土下座をさせるだろう。


 であれば。


 まだ完全に熱せられるまえに鉄板に乗った方が良いのでは?


「うおおおおおーーーーー!」


 俺は雄叫びをあげ、鉄板の上に飛び乗り、膝をついた。


 俺は、いける、と思った。


 鉄板が分厚いこともあるのだろうが、まだ完全に温まっていない。だから、ズボンの布一枚越しの膝は、少し暖かい程度でまだ全然熱いことはなかった。


「先輩方、すみませんでしたーーーッ!!」


 俺は鉄板の上で土下座をし、額を擦り付けた。少し熱いが、これならやけどせずに耐えられる。


 そう思ったときだった。


「よっしゃカチューシャ、火力全開や」


「オッケー……」


 炎が、吹き上がった。


「うっぎゃあああああアーーーーーーーッ!」


 あまりの熱さに、俺は額を上げようとしたが、額は鉄板にへばりついていたため、額の皮が剥げた。そして、それをひっぺがした勢いで俺は後ろに転げ、後頭部を熱々の鉄板にうちつけることになった。


「おっぎゃああーーー! 熱い! 熱いーーーッ!」


 鉄板の上をのたうち回り、鉄板から転がるようにして床に転落した。


「うっっごごおおおおおお!!!」


 全身が大火傷を負っている。これはさすがに死ぬかもしれない。


「ええもん見してもろたで、ケンゾー。じぶんは男や。さすがうちが見込んだ後輩や!」


「ケンゾーさんの度胸には頭が下がりますわ。殿方とはこうでなくっては」


 だが、おかげで二人からの評価は上々だ。


「ふむ、良いものをみせてもらったのう。人間も捨てたもんではないわい……」


 さすがのグレモリー本部長も感心していた。


 だが俺はもうダメだ。


 人間は体の30%に火傷を負うと命が危なくなるという。


 俺のは30%どころではない。8割方火傷している。もう俺は死ぬ。アイマストダイ。


――――――――――――――――――――――――


おめめ作品において男性キャラがひどい目にあうことは運命的に決定づけられており、主人公もその例外ではないのだ。


またこのシーンでは『ジェンダー』について風刺している。すなわち危険で愚かな行為を行うことで女性陣に褒められるということを通して『男らしさ』のバカバカしさを揶揄しているのである。


社会的な議論となっている『ジェンダー』について、小説などの媒体で取り扱うことは非常に慎重な取り扱いを要する。『ジェンダー』はどんな風に書いたとしても、どこかの方面からクレームが飛んでくることは必死なのである。


しかも暴力表現を交えてそれを描くことなど、一般人には到底不可能であると考えられる。


しかし安岡寺おめめは小説の舞台を『現代要素が入り混じったあくまでも異世界』とすることでそれを可能としている。これはすごい発明と言えるのではないだろうか。



■第42話


また以下のシーンでは『容易に扇動される大衆の愚かさ』を表現している。


―――――――― 以下抜粋 ――――――――――


「国民は馬鹿で愚かです。彼らのほとんどは高等教育を受けているわけでもありませんし、政策について検討するだけの知見も持ち合わせてはいないのです。ただ、政治参加意識が高いだけ。言い換えるならば、権利だけを主張したい、面倒な人たちです」


「そんなことは……」


 ガルプは反論しかけたが言いよどむ。俺の言うことに思うところがないわけでもないのだ。


「もちろん、建前ではそんなことは言えません。ですが、国民が愚かだからこそ、先生のような聡明な政治家が国をリードしていく必要があるのではありませんか?」


「ふむ……」


 ここに来て持ち上げられたガルプは満更でもない様子だった。もう一押しだ。


「それで、先生。俺の考えはこうです。俺はMHK上層部をごまかすためにも、当面はアンリエッタ推しの報道を続けます」


「それでは私は不利になるな」


「ええ。ですが選挙終盤、最後の最後で、アンリエッタのどデカイスキャンダルをすっぱ抜くのです」


「どデカイスキャンダルだと?」


 ガルプが身を乗り出す。


「そんなものがあるのか!?」


「さあ、どうでしょう?」


「どうでしょうって……君……」


「スキャンダルがあるかないか、そんなことはどうでもいいんです。疑惑でもいいし、でっち上げでも構わない。メディアが大騒ぎすれば、それまでのイメージが良かったぶん、アンリエッタへの落胆は大きなものになるでしょう」


「しかし、それでは国民に嘘を……」


「あとで訂正報道をすれば問題ありません。選挙が終わってから、こっそりとね……。あくまで判断するのは国民ですから」


「ふむ……」


 しばし腕組みして考え込んだガルプは、しばらくして、大きくうなずく。


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このシーンでは明らかに『容易に扇動される大衆の愚かさ』を揶揄しているが、本当の意図はそれだけだろうか?


いや違うはずだ。なぜならこれを書いたのは才能に溢れる安岡寺おめめである。絶対なんらかの別の意図も隠されているはずだ。


もしかして『メディアによって世論を操作できると信じているマスコミの傲慢さ』や『それに安易に迎合する政治家の愚かさ』を風刺しているのではないだろうか。うーん、深い。


やはり彼女の作品を読み解くためには幅広い社会問題の知識が必要となること間違いなさそうだ。





上記に挙げた数々の例から分かるように、おめめ作品は一見おバカなコメディを装い、唐突かつ理不尽なバイオレンス描写を特徴としている。


しかしそれは表面的な解釈であって、その実は『異世界という舞台を通して現代社会における数々の社会問題を風刺している』のである。



◇◇◇◇◆◇◇



<< なぜ異世界を舞台に現代社会の風刺を行っているのか >>



ではなぜ彼女は「小説家になろう」という場所で異世界物を書き、現代社会を風刺しているのだろうか。


その理由を考察すると「異世界という舞台設定は、現実世界とルールが異なるため、風刺表現がしやすいからではないか」という理由が考えられる。


なぜ彼女が「小説家になろう」のコメディジャンルの様な場所で、ひっそりと異世界モノ作品を投稿し続け、その中で社会風刺を行っているのかは不明であるが、その風刺はとても示唆に富んでおり、知的な面白さを引き起こすことは間違いなく確かである。



◇◇◇◇◇◆◇



<< 安岡寺おめめ作品が一般ウケしない理由とウケる者には絶対ウケる理由 >>



おめめ作品に含まれる理不尽な暴力表現を通した風刺表現を読み解くためには、読書者側にも高い知識レベルが要求される。


このことこそが彼女の作品が世間で評価されてない理由であり、またコアなファンには絶対ウケる理由なのではないだろうか。


安岡寺おめめ作品を楽しむためには『現代社会における数々の社会問題』という膨大な予備知識が必要となるのだ。



◇◇◇◇◇◇◆



<< ここまでのまとめ >>


① おめめ作品の暴力描写を表面的に捉えると正直、不愉快なものに過ぎない


② しかしそれを『風刺表現』と捉えると趣がガラッと変わって、一転して最高に面白いものになる。


③ 異世界という舞台設定は風刺表現がしやすい。


④ おめめ作品の風刺の面白さを理解するためには高い知識レベルが必要となる。


⑤ そのため、おめめ作品は世間ではあまり評価されていない、一方でウケる者には絶対ウケるという現象が起こっている。



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第3章ではさらに『』について詳しく考察していく。



<< 続く >>


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引用元:

『魔界放送協会(MHK)の職員(人間界担当)になったけど、人間界にはテレビがなかった』


第3話 実録! トップセールスのやり方

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第10話 追証払ってもらわないと

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第23話 メイドさんマジ天使

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第32話 アンリエッタ

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第42話 この国を支配するもの

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作者の許諾を得て引用。

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