仇討ち正十郎と紅花の娘

PREラッシュ(活動休止中)

塩川正十郎と紅花の娘

幕末の京都に現れた謎の浪人がいた。

「鬼やぞ」

人々は浪人塩川正十郎を見てひそひそと話す。

(紅花の娘はおるか?)

正十郎は紅花の娘と呼ばれる美しい娘を探した。

紅花の娘が住む屋敷には薩摩藩士や長州藩士がよく出入りしていた。

正十郎は紅花の娘の美しさに見惚れた。

あの美しさに惚れた男達は紅花の娘を手に入れようとあれこれ企んだ。

しかし男達の矮小なる企みを紅花の娘は見抜いていた。

(手に入らぬ美しき花か)

正十郎はそう思って長屋へと向かった。



「正十郎様、お待ちくださいまし」

紅花の娘は正十郎の手を握りながら言った。

それがしは主君の仇討ちをして脱藩した浪人である。お前はそれがしを忘れて生きるがよい」

紅花の娘は正十郎の言葉に頷く。

時が流れて明治の世になると塩川正十郎は姿を消した。

浪人塩川正十郎に恋をした紅花の娘は80歳になった。

明治が終わり、大正になると紅花の娘は近所の子供達に塩川正十郎の美談を聞かせた。

塩川正十郎と紅花の娘の恋物語は今も語り継がれている。








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