ハンターから逃げ切れ! (KAC7)

狐兎

第1話 三人のハンター

 気づくと知らない場所にいた。

 大きな家のようだが他にも人がいるようだ。

 「あのここは──」

 「喋るな、ハンターに見つかる」

 その人は何もかも理解しているようだった。

 ここには足音がしない無音の少女とその母、そして破壊の大男の三人のハンターがいるらしい。

 少女に捕まると叫びだし、母親を呼ぶ。

 母親に捕まると自分は無音の少女になるらしい。

 大男は家のドアや壁を破壊するようで見つかると追ってきて捕まると殺されるようだ。

 脱出には鍵を見つけ、ここから出ることそれだけだ。

 さっさとこんなところ出て行きたい。

 部屋を探索しようと、ドアを開けた。

 そこには少女がいた、おそらく無音の少女だろう。

 足音を立てないようゆっくり移動する、どうやら目が悪いのかこっちを見ているが近寄らない。

 安心し、振り返ったその時だった。

 目の前に少女と手をつなでいる母親がいた。

 母親は手を伸ばして捕まえようとしてくる、逃げたいが足がすくんで動けない。

 「死にたいのか! クソガキ!」 

 母親の後ろから声がした。

 部屋にいた少女と母親は声の方へ走って行った。

 なんとか生き残ったと思っていると手を引っ張られ近くの部屋に連れ込まれた。

 そこには最初に会った人がいた。

 「無警戒すぎだ! 死にたいのか!」

 「いや、そんなこと言われても」

 「いいか、隠れながらそして足音は立てるな。それだけ注意しろ」

 そう言い残し部屋を出て階段を上がって二階に行ったようだ。

 今のは事故でしかないと思うけど。

 探索に戻ろうと部屋の入口に立った時だ。

 足音、そして時々凄い音がする。

 おそらく、破壊の大男だ。

 どんどん近づいて来る。

 逃げられる状態ではない! 部屋に隠れるしかないが隠れられそうなものがない!

 ベット、本棚、あとはテーブルの下くらいか、仕方ない!

 ベットの下に入り、様子をみていると。

 大きなハンマーを持った大男が部屋に入って来て、壁や本棚を壊して出て行った。

 危ない。本棚の後ろにいたらミンチになっていただろう。

 壊れた本棚の裏には鍵があった。

 これで脱出出来る!

 階段を降りるがいつまでたっても下につかない。

 なんだこれ! 下には行けないのか!?

 仕方なく上に戻ると他にも鍵を持った人がいた。

 「あの、ゴールはどこなんでしょうか」

 「今からそれを探すんだよ、鍵はいくつある?」

 「この一つです」

 「なら、鍵をまだ探す方がいいな。他の探索者が部屋に鍵を使うからゴール用の鍵も持ってなくてはいけない」

 話していると曲がり角から影が見えた。

 「母親の方だ、逃げろ」

 階段を見つけ、上に行って鍵を探すがなかなか無い。

 さらに上に行くと探索者がいた。

 「おい、ゴールが見つかったそうだ。あとは残りの鍵一つ探すだけだ」

 ん? 残り一つ? もしかしてこれのことか?

「あの、鍵あるんですけど」

「あるのか!? よし、これで脱出だ」

 ゴールを知る探索者について行くと大きな扉があった。

 鍵を使うと開いて外が見えた。

 喜ぼうと隣を見ると探索者の頭がなくなっていた。

 後ろには大男が立っており、今にもハンマーで殴ってきそうだった。

 なんとか直撃は回避したが左半身が痛い、床の破片が飛んだのだろうか。

 そのまま逃げ光の中に飛び込んだ。

 「⋯⋯君」

 これでクリアなのか? まだ何かあるのか? 気を抜いてはいけない。

 「ユウ君!」

 目覚めると床で寝ていた、そこに彼女の凛が起こしに来たみたいだ。

 「ごめんごめん、今起きたよ」

 「もう、ベットから落ちるとかありえないんだけど」

 そうだ、今日から新婚生活の始まりだった。

 凛も彼女じゃない、嫁だったな。

 「朝ご飯、出来てるから。食べよ?」

 「今行くよ」

 夢は怖かったが昨日やったゲームのせいかな。

 でも、可愛い嫁に起こしてもらえるとか最高の目覚めとしか⋯⋯ゲーム?

 そうだ、昨日はホテルにいて今日荷物運びじゃなかったか? 

 「ほら、行くよ」

 「あ、あぁ」

 なんとなく、凛があの少女に似ている気がした──考え過ぎか。

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