必ず完結して欲しい書籍化されるべき作品

 異世界転生とは第二の人生だろうか?本作の主人公はそれを否定する。これは延長戦。渇望に焼かれる男が旅の果てに得る物は破滅か救済か?続きが気になって仕方ない作品だ。ストーリーやテーマもさることながら、心情、情景、戦闘、人間関係、文化、どの描写も卓越している。登場人物はどれも生き生きと描かれているし、危険な戦闘からは冒険のスリルと興奮を感じられ、文化や情景の変化は主人公の旅に空間的広がりを与えてくれる。これ程の作品がWeb小説のまま儚く忘れ去られて終わるというのは極めて惜しい。

 都合の良い「人生やり直し」を否定してるだけあって、スキルもチートも無いリアル路線の作品です。主人公とヒロイン達は様々な経験を経てゆっくりと、だが時に花開くような成長や変化を見せてくれる。まずはここに注目して読んで欲しい。すると、主人公達が見せる祈りにも似た切実な想いをより深く味わえると思います。
 また、剣と魔法の力関係や敵キャラと主人公陣営の実力はとても良いバランスとなっています。生々しい命のやり取りを感じさせてくれる戦闘描写は、主人公陣営の勝利を予想している読者にも手に汗握らせてくれること間違いなしです。

 読者が主人公と共に旅をできる作品であり、読めば読む程に引き込まれる仕上がり。この小説と出会えた人間は幸福に違いない。君も紅迷ならぬ獣迷になろう!