魔法や剣術の精細な描写が異世界とは思えないリアリティを際立たせる

主人公は、魔法や治癒魔法というチート能力を持っている。しかし安易な主人公最強設定とはかけ離れたストーリー展開で、劣悪な環境やとてつもない強敵が、次々と登場する。仲間や味方のキャラクターだけでなく、敵方のキャラクターも精細に描かれており、非常に魅力的な群像劇になっている。異世界ファンタジーが陥りがちな、魔法等によるご都合主義が、この作品には感じられない。戦闘シーンに、剣術の精緻な表現や心理の駆け引きを描くことで、魔法を一種の戦闘技術にすぎないものとして現実感を持たせている。この戦闘の細かい描写が、スリル感を増大し、大きな魅力になっている。これから主人公が、この過酷な環境でどのように成長していくのか、更新が待ち遠しい。

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獣の見た夢