無駄のないストーリー。熱の篭もった文章。転生物でも一位二位を争う傑作。

 私はもともと小説家になろうでこの作品を読んでおり、その時もこの作品にレビューを書いた。獣の見た夢に出会ったのは三年前。まだ中学生の頃だ。
 この作品の凄いところは、物語の登場人物それぞれが各々の願いや欲望を抱いているところである。
 だからこそ、それぞれに個性が生まれており、まさに“獣の見た夢”という世界観の中で、必死に生きている。そう感じた。
 私は何度もこの作品を読み返しているが、今現在最新話で活躍している人物の名前が最序盤で語られていることに戦慄した。
 つまり、行き当たりばったりの見切り発車で作られている作品が多い中、この作品のストーリーは綿密に作りこまれているのだ。
 読者に息をつかせない濃厚な物語が一切の無駄なく展開され、話が進むごとにどんどんと加速する。愛と欲望、登場人物たちの強い思いが交差しているこの作品でしか味わえない転生奇譚を是非、一人でも多くの人に読んで欲しい。